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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第九章 黒谷に吹く新たな風

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何故か三人で飲み比べ

土方が来たことで浮かれていたとめだったが、沖田の言葉を思い出していくらか落ち着きを取り戻す。

そこへ何故か酔っ払った永倉が登場し……

 会津藩 黒谷のお屋敷の客間にてーー


 私はとめ。


 この間は土方さんの男前ぶりに動揺してしまったけど、どうやら土方さんは本当に沖田の言う通り天然で紳士的なだけで、私には興味ないみたい。


 ……なんか残念だけど安心したわ。やはりいい男は見るだけで充分だよ。


 意識すると動きが制限されて窮屈で仕方ない。


 沖田はいつのまにか刀を納めており、姿勢を正してお茶を飲んでいた。


「沖田さん、このお菓子美味しいですわね」


「……僕は甘いものは嫌いだけど……」


「そうなの?じゃあ沖田さんのお菓子ももらっていい?」


「……好きにすれば……」


 土方が二人の様子をニヤニヤしながら見ていた。


「二人とも可愛いな……総司、俺のも食うか?」


「は?なんで僕がそんな事しないといけないんですか?出されたものはありがたく食べてくださいよ」


 先程「甘いものは嫌い」と言った口で沖田は吐き捨て、そっぽを向く。


「んだとぉ?!」


 土方さんが急に切れた。


「総司、俺に喧嘩売ってんのか?」


「やめてください。姫様の前ですよ」


 沖田が正論で返す。


 もー土方さんもキレるポイントがわからなくて怖いよ!

 どうしよう、黒谷で暴れられちゃったら……


「二人とも落ち着いて……」


 私が声をあげた時ーー


「ここにいたのか土方ァ!」


 酔っ払った永倉が襖を破らんばかりの勢いで入って来た!


 いや、なんで酔っ払ってんのこの人?


「新八……いきなりどうした?姫様の前で失礼だぞ」


 いやいやあなたもさっきいきなりキレてましたよねぇ!?


「ここに来てる薬売りの虎之助って奴にいい酒をもらったんだよ!飲み比べしようぜ!俺が勝ったら今日の当番代わってくれ」


 虎之助?あいつまた酒持って来たんだ……


「おとめ姐さんもどうですかい?」


「えっあっ、私!?」


「そうそう、この間負けたからな。再挑戦だ!」


「へぇ……おとめさんはそんなにお酒が強いんですか」


 土方さんに見つめられて、低い声で囁かれる。

 こっ、これは……チャンスでは!!


「土方さんは、酒の強い女ってどう思います?」


 土方さんは少し考えたあと。


「…………素敵だと思います」


 絶対嘘じゃねぇか!!なんだ今の間は!?


「ぷくく……」


 振り返ると、沖田が肩を震わせて笑っていた。

 姫様は、沖田にもらった菓子に舌鼓を打っている。


 その顔が、あまりに幸せそうで。


(まぁいいか。姫様が笑ってるなら……)


 何かが吹っ切れた私は、永倉と土方さんの方を向き直した。


(よーし、こうなりゃヤケだ。やってやろうじゃないか。元町娘の女の胆力、見せてやる)


「二人とも、かかってきな!」

果たしてこの勝負は誰が勝つのでしょうか!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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