何故か三人で飲み比べ
土方が来たことで浮かれていたとめだったが、沖田の言葉を思い出していくらか落ち着きを取り戻す。
そこへ何故か酔っ払った永倉が登場し……
会津藩 黒谷のお屋敷の客間にてーー
私はとめ。
この間は土方さんの男前ぶりに動揺してしまったけど、どうやら土方さんは本当に沖田の言う通り天然で紳士的なだけで、私には興味ないみたい。
……なんか残念だけど安心したわ。やはりいい男は見るだけで充分だよ。
意識すると動きが制限されて窮屈で仕方ない。
沖田はいつのまにか刀を納めており、姿勢を正してお茶を飲んでいた。
「沖田さん、このお菓子美味しいですわね」
「……僕は甘いものは嫌いだけど……」
「そうなの?じゃあ沖田さんのお菓子ももらっていい?」
「……好きにすれば……」
土方が二人の様子をニヤニヤしながら見ていた。
「二人とも可愛いな……総司、俺のも食うか?」
「は?なんで僕がそんな事しないといけないんですか?出されたものはありがたく食べてくださいよ」
先程「甘いものは嫌い」と言った口で沖田は吐き捨て、そっぽを向く。
「んだとぉ?!」
土方さんが急に切れた。
「総司、俺に喧嘩売ってんのか?」
「やめてください。姫様の前ですよ」
沖田が正論で返す。
もー土方さんもキレるポイントがわからなくて怖いよ!
どうしよう、黒谷で暴れられちゃったら……
「二人とも落ち着いて……」
私が声をあげた時ーー
「ここにいたのか土方ァ!」
酔っ払った永倉が襖を破らんばかりの勢いで入って来た!
いや、なんで酔っ払ってんのこの人?
「新八……いきなりどうした?姫様の前で失礼だぞ」
いやいやあなたもさっきいきなりキレてましたよねぇ!?
「ここに来てる薬売りの虎之助って奴にいい酒をもらったんだよ!飲み比べしようぜ!俺が勝ったら今日の当番代わってくれ」
虎之助?あいつまた酒持って来たんだ……
「おとめ姐さんもどうですかい?」
「えっあっ、私!?」
「そうそう、この間負けたからな。再挑戦だ!」
「へぇ……おとめさんはそんなにお酒が強いんですか」
土方さんに見つめられて、低い声で囁かれる。
こっ、これは……チャンスでは!!
「土方さんは、酒の強い女ってどう思います?」
土方さんは少し考えたあと。
「…………素敵だと思います」
絶対嘘じゃねぇか!!なんだ今の間は!?
「ぷくく……」
振り返ると、沖田が肩を震わせて笑っていた。
姫様は、沖田にもらった菓子に舌鼓を打っている。
その顔が、あまりに幸せそうで。
(まぁいいか。姫様が笑ってるなら……)
何かが吹っ切れた私は、永倉と土方さんの方を向き直した。
(よーし、こうなりゃヤケだ。やってやろうじゃないか。元町娘の女の胆力、見せてやる)
「二人とも、かかってきな!」
果たしてこの勝負は誰が勝つのでしょうか!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




