二人、肩を並べて。
「……私が敏に贈りたいのだ」
「殿……//」
侍女がそっとかんざしを受け取り、敏姫の後ろに回る。
「失礼いたします」
髪に差し込まれる感触。それは軽いはずなのに、不思議と確かな重みを感じて。
「……」
姫様は、そっと容保様を見る。容保様はわずかに目を細めた。
「……やはり似合うな」
一言だけそう言うと、容保様は微笑んだ。
えっ?あのクソ真面目な容保様が笑った!?しかもとびきり優しい笑顔!
「……殿、嬉しいですわ。このかんざし、敏姫の一生の宝物にします」
(嬉しい……夢だったの。こうやって殿とデートして……二人で肩を並べて)
胸の奥が、静かに熱くなる。
敏姫はそっとかんざしに触れた。
その様子を、少し離れたところから見ていた者たちがざわめく。
「今のご覧になりまして!?」
「あの殿が……自ら贈り物を……!」
「しかも“似合う”と……!」
「これは大変なことでございますぞ……!」
なんだ?私以外にも気になって見に来てる人が結構いたんだ?
「ふふ、そっかそっか」
私は思わず吹き出してしまった。
ーーこのお二人は、こんなにも慕われているのだと。
それを思うと胸が熱くなった。
だが当のお二人は、そんなことなど気にも留めていないみたい。
だってさっきからずっと、お二人にはお二人しか見えていないもの。
「敏、冷えてはおらぬか」
「はい……でも、今はとても温かいです」
「……そうか」
風が静かに吹き抜ける。
かんざしが、かすかに揺れた。
実際の容保様はあまり話さないようでしたが、この物語の容保様はよく話します。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




