客人・土方歳三
ある日の黒谷でーー
会津藩 黒谷のお屋敷の客間にてーー
私はとめ。
今日は姫様の知り合いが来るって聞いてたから茶を運んでるんだけど……
(姫様に知り合いなんかいたっけ?)
黒谷に来てからずっとご病気がちだったから、まともにお友達と呼べる人なんていないはず。
ーーひょっとして虎之助か?
なんだよ〜それがわかってたらわざわざこんな上等の菓子用意しなかったのに。
私が客間の襖を開けたその時だった。
「失礼しまース!」
「あら、とめ丁度いいところに。今日は土方さんがこの間のことでわざわざ訪ねてくださったの」
「はいはい、わかってますよ。今日は土方さんが……土方さん!?!?」
私の視線の先には、黒い羽織を無造作に羽織り、姿勢を正した土方歳三がいた!!
背が高く、目鼻立ちは恐ろしいほど整っていて。低くてよく通る声。
驚いた私は思わず茶器をひっくり返しそうになった。
「ひひひひ土方さん!な、何故ここへ?」
「……先日の詫びをしに来た。姫のやりたいことを横取りしてしまったからな」
「土方さんてすごく真面目な方なのね!熊さん達は割と自由人なのに……」
私はいい男を前に口をぱくぱくするしかない。
「熊さん達?ああ、はじめと新八のことか。あの二人はどうだ?迷惑をかけてないか?」
持ち前の低い声で少し微笑みながら姫様に問う。
その視線は姫様から逸らさずに……
土方さんはただ純粋に心配してるだけで他意はないんでしょうけど!
なんなんだこの溢れ出る色気はよぉ!
「はい、とても良くしてもらってます。それに最近は沖田さんもーー」
「……土方さん、何やってるんですか?」
いつのまに来たのだろう。音もなく、気配もなく沖田が私の後ろに立っていた。
良い男を前に狼狽するとめが書きたかっただけのお話。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




