表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第九章 黒谷に吹く新たな風

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/212

天然の人たらし

新撰組一の色男、土方歳三の登場に見惚れていたとめだったが、それ以上に敏姫様が自由すぎて……

 土方さんが台所に来てから、沖田がいつのまにか近くに来ていた。


「なんだい沖田、珍しいね」


「……あのひと、ちょっと天然だから……」


「えっ?天然?土方さんが?」


 私が姫様に視線を戻すと、姫様はまだ包丁を握って野菜を切ろうとしていた。


 いや、だから誰か止めてよ!


 斉藤、何成長した子どもを見るような目で頷いてるの?


 永倉はなんでそこで酒を飲む?!


 私が姫様を止めようとしたその時ーー


「……危なっかしい持ち方だな。こうやって持つんだ」


 土方さんが姫様の背中ごしに、姫様の包丁を持つ手と、野菜を持つ手に自分の大きな手をそっと触れた。


 ええ〜!!ひ、土方さん!それはいくらなんでも距離を詰めすぎでは??


「こうやって持って、そう……初めてなら切りやすいものを選んで……」


 ああ〜いい声……

 耳が幸せだわ。


 私がうっとりとしていると、沖田がこちらを呆れたようにじとりと見ていた。


 い、いけないいけない!


「ひ、土方さん。もう少し姫様と距離を置いてくださいな。姫様は容保様のご正室で……」


 土方さんが顔を挙げる。


 めちゃくちゃいい男!


「だが、姫様自身がやりたいと言い出したのだろう?」


「……は、はい//」


 土方さんの涼しげな瞳に見つめられて、私はそれ以上言えなくなってしまった。


「はっはっは!天下のおとめさんも新撰組一の色男には敵わねぇか!」


「ぐっ……」


 永倉の言う通りだ。私は土方さんには敵わない。あの黒い涼しげな目で見つめられると、白いものも黒だと言いそうだ。


「……姫様、こっちで僕と野菜を洗うのを手伝ってください」


 いつのまにか沖田が野菜桶を用意して言った。

 

 珍しい……いつもなら「僕はそんな汚れ仕事はしない」って言うのに。


「えっ?でも今師匠に包丁の使い方を教わってるのですが……」


 いつのまに師匠になったんだ!


 でもさすが容保様のご正室。今の一連の土方の仕草を何とも思っていないとは……!


「姫様、どうする?」


 低い声で姫様に聞く土方さん。


「土方さんは黙っててください。ほら、姫様」


 沖田はそう言って半ば強引に野菜桶に姫様を連れて行った。


「まぁ〜このお野菜たち、ツヤツヤで美味しそうですわ!」


 姫様は切り替えが早い。すぐに目の前の野菜に夢中になってしまった。


「……僕は普段こんな事はしないけど……」


(今日は土方さんが来たから)


 沖田はまだ固まっている私を見て、呆れたようにため息をついた。


「だから言ったんですよ。土方さんは天然の人たらしだって」


この物語での沖田は少し潔癖です。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ