動揺したのは何故?
斉藤と永倉ととめが屋敷中を探し回っている中、沖田は敏姫が隠れている場所を見つける。
敏姫の声を聞いた沖田は動揺し……
「……敏姫様?」
沖田の呼びかけに驚いたのか、敏姫の着物の衣擦れが聞こえる。
やがて。小さな声が返って来た。
「……沖田さん?」
「……ッ!!」
沖田はひどく動揺した。
先程まで平気だったはずの心の臓がドクドクと跳ねる。
敏姫の声を聞いたから?
ーーわからない。
「……その場にいてください。あの二人と女中も、探していますから……」
沖田は敏姫に会う事はせずに、永倉と斉藤に姫の隠れ場を教えて去って行ってしまった。
「なんだ姫様!こんなところにいたのかぁ!」
「……見つからんわけだ。こんな狭い隙間に……」
「えへへ〜!私の勝ちですわ!!」
姫様は至極嬉しそうに、ニコニコしながら隙間から出て来た。
はぁ、姫様のこの笑顔には敵わないな。
「沖田さんが見つけてくれたの。でもすぐに熊さん二人に知らせるって言っていなくなってしまって……」
「ははは、総司のやつ、きっと緊張したんですよ」
永倉がそう言って笑う。
「緊張??どうして……」
「姫様!それよりまたお召し物がほこりだらけ。これで何回目ですか!もー」
私は埃だらけになった姫様の上等の着物を見て悲鳴をあげる。
「まあまあいいじゃないですか。見つかったんだから。おとめさん、さっきまで姫様出て来て〜!って泣いてたでしょ」
「それとこれとは別です!」
「……そうだぞ新八」
「なんで俺?!」
私たちがまたぎゃいぎゃい言い合っていると、容保様がこちらに向かって来た。
「殿!」
姫様がパッと笑顔を咲かせる。
「敏……屋敷で行方不明になったと聞いたが……」
「熊さんたちに見つけてもらいましたわ。最初に見つけてくれたのは沖田さんでしたけど……」
「……そうか、敏は勝ったのだな」
「はい!かくれんぼなら負けませんわ」
そう言って胸を張る姫様。
あーもうなんでもいいや。
チラッと熊二人を見ると、殿と敏姫様のラブラブな空気にどうしていいかわからないといった様子。
「よし、今夜は飲もうかぁ!虎之助にいい酒をもらったんだ」
「おっいいですねぇ!何に乾杯します?」
「……俺たちが負けた日に」
「はっはっは!そりゃいいや!」
容保公は敏姫を抱き寄せて、とめ達のやりとりを穏やかな眼差しで見つめていた。
ーーその夜、永倉と斉藤と飲み比べをした結果、とめが圧倒的勝利をおさめたのはまた別の話だ……
とめはお酒はかなり強いです。
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