姫様はかくれんぼが得意
黒谷の広い屋敷をくまなく探して回るとめと斉藤と永倉。しかし一向に見つからない敏姫にとめは焦っていた。
一方沖田は……
「姫様ァァ〜〜〜〜!!どこに隠れっちまったんだい!もう参った!降参だ!出て来ておくれよー!!」
会津藩 黒谷のお屋敷ーー
刻はもうとっくに夕暮れ。
私たちはまだ姫様を見つけられずにいた。廊下の隅、箪笥の影、階段の隙間、容保様の書院の文机の下、本の間、壁の裏、茶碗の蓋の中まで!
こんなところにいるはずもない場所も探した。
思いつく限りのところを隅々まで探して、全ての場所が空振りで。
「姫様、かくれんぼは得意なんだなぁ」
「……これは難儀しそうだな」
さすがの熊二人も頭を捻っている。
まあこの二人は脳筋だからな……
私は日が翳って行く様子を見て焦った!
「ますます探しにくくなるじゃない!」
* * *
「…………」
同じ頃、少し離れた場所で沖田が敏姫を探していた。俗っぽい事はしない、と言っていたが、本当は三人に混ざって探したかったのだ。
(……どうして僕がこんな事……)
沖田自身にもわからないまま。
まるで自分自身の答えを探すように。
敏姫の姿を探していた。
カタッ……
その時、どこかで小さな音がした。
沖田は全神経を耳に集中させた。
微かな衣擦れの音に耳を澄ます。忍び足も全くできていない敏姫の足音を。
ぺた……
姫様の足音が微かに聞こえた。
「……ふん……」
沖田は軽く息を吐く。
確信を持って敏姫が隠れているであろう場所で足を止める。
そこは隠し階段がある場所。階段の中にさらに隠し階段がある。
(なるほど……こんなところにいたんですか。斉藤さんにも、永倉さんにもわからないはずだ)
あの人たちは脳筋だからな……
斉藤と永倉に対するとめと沖田の解釈が一致しているのが好きです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




