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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第九章 黒谷に吹く新たな風

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姫様とかくれんぼ

とめの昔馴染みらしき男、薬売りの虎之助がやってきて、敏姫の回復祝いの菓子を持ってきた。

姫様はどうやら斉藤と永倉相手にかくれんぼをしているようで……

 いつのまにいたのだろう。沖田総司が私の後ろに立っていた。


 なんでこの人すぐ気配を消すのよ!


「沖田!びっくりしたァ!いい加減気配を消して来るのなんとかしてよ」


「……これは僕の(くせ)みたいなのでなんとかしようがないです」


 つまらないと言った感じで、沖田は首の後ろをかいて。


 視線は明らかに敏姫様の気配を探していた。

 そんなに気になるかい!


「沖田?ひょっとして新撰組の……?」


 そこで初めて虎之助に気がついたのか、沖田がこちらに視線を向ける。


「……誰?」


「私の幼馴染の薬売りだよ。姫様の回復祝いを持って来てくれたんだ」


「ふぅん……ねぇ、ところで姫様は?」


 私と虎之助には興味ないってか!


 ひょっとしてこの人、めちゃくちゃわかりやすいのでは??


 私たちにはてんで興味ないの丸わかりだし……


「姫様なら熊二人とかくれんぼの最中だよ。これから見つけてあげるんだ」


「……ふーん……」


「沖田も参加するかい??」


「だ、誰が?//僕はそんな俗っぽい事には参加しない!」


「そんなムキにならんでも……ねぇ虎之助?」


 ふと見ると、虎之助は俯いていた。固く握られた拳が若干震えている。


「虎之助?どうしたのさ……」


「……俺はこれで。また来るよ。姫様によろしくな!」


 そう言って虎之助は慌てて帰って行った。


「どうしちまったんだろうね。ひょっとして(かわや)だったのか?はっはっは」


「…………」


「さて、姫様を見つけるかねぇ〜?!」


 黒谷のお屋敷は広い。

 本気で隠れられたら日が暮れちまう。


 こっちも本気で探さなくては。


果たしてとめと熊二人は姫様を見つけることができるのか!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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