表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第八章 敏姫と屯所と

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/210

どうしてこんなに楽しそうなんだ

一生懸命に浪士たちの着物を洗濯するあまり、鼻先に泡をつけたまま作業する敏姫。

その姿はとても楽しそうでーー

「感じ悪ぃな総司〜」


 永倉がにやにやしながら言う。


「本当は混ざりたいくせに」


「……は?」


「姫様に誘われて嬉しかったんだろ?」


「永倉さん、斬られたいんですか?」


 沖田が笑顔で刀に手を当てる。怖い怖い怖い!

 永倉もなんでそんな平然としてるの??


(ん……?)


 沖田の耳が、ほんの少しだけ赤かった。


(あれ?もしかして図星だった?)


 斎藤も気づいたらしく、ふ、と肩を揺らしている。


「……総司」


「何ですか斉藤さん」


「顔」


「……//」


 沖田は無言で顔を背けた。


 その様子を見た姫様が、不思議そうに首を傾げる。


「沖田さん?」


「……何でもありません」


「そうですの?」


 姫様は納得してない様子だったが、すぐまた洗濯に戻った。


 ぱしゃぱしゃ。

 ごしごし。


「きゃっ」


 勢い余って水が跳ねる。


「あああああ!!」


 私は頭を抱えた。


「姫様のお高いお着物がぁぁ!!」


 泥水が跳ねている!

 浪士どもの泥と汗と血みたいな汚れがぁ!!


「だ、大丈夫ですわとめ!」


「大丈夫じゃないんですってば!!」


「ほら姫様、泡ついてますぜ」


 永倉が笑いながら手ぬぐいを差し出す。


「え?」


「鼻」


「……っ//」


 敏姫様が慌てて鼻を押さえた。


「ふふ……」


 思わず笑ったのは斎藤だった。


「……姫様、子どもみたいだな」


(はじめ)、お前が笑うなんて珍しいな!」


「……悪い、つい……」


 だが全然悪いと思っていない顔でまた笑う。


 そしてそんな騒がしい光景を。


 沖田だけが少し離れた場所から静かに見ていた。


(……なんなんだろうな、この人は)


 泥だらけになって。

 泡だらけになって。

 浪士達の汚い着物を洗って笑って。

 自分の着物が汚れるのも構わずに。


 それなのに。


 どうしてこんなに――


「……楽しそうなんだ」


 ぽつりと呟く。


 その声は、誰にも聞こえなかった。

少しずつ、沖田の内面にも変化が訪れています。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ