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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第八章 敏姫と屯所と

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屯所と敏姫様

黒谷の縁側で、敏姫ととめはのんびりとした時を過ごしていた。

 黒谷のお屋敷ーー茶屋の縁側にて。


「とめ、私屯所に行ってみたいわ!」


 姫様がまた目をキラキラ輝かせておかしな事を言ってきた。


 私はクソデカため息をそのままにして答える。


「はぁ〜姫様、屯所は危険なところですよ。全員が全員、斉藤や永倉みたいな人間じゃないんです。それに屯所は確かーー」


「屯所は基本的に女性は立ち入り禁止ですよ。


 声のした方を見ると、気配もなく沖田が背後に立っていた。

 いや怖いから!なんでこの人いちいち気配がないの!?


「ましてや敏姫様のような立場のあるお人が出入りできるようなところじゃないです」


 め、珍しく正論??沖田が?この沖田本物?偽物じゃないでしょうね?


 などと私がごちゃごちゃ考えているとーー


「はっは!確かに姫様は正面からは入れねぇな!」


 永倉が豪快に笑いながら縁側に来た。


「そうなんですのね……いつも良くしてくれる熊さん達が普段どんな所で過ごしてるか見てみたかったのですが……」


 あからさまにしょげる姫様。そんな顔したら情に厚い永倉が揺れるだろう!!


 これを計算じゃなくて天然でやってるのがこの姫様のすごい所。


「姫様……」


 案の定永倉が揺れている。それはもうちょっとした地震くらいにね。


 私はもういいやと投げやりでその場を見ていたがーー


「そうだ!台所なら入れるぜ!」


 永倉ぁ!!余計な事を言うなぁぁあぁ!!


「まあそうでしたの!?行ってみたいわ」


 永倉の余計な一言で、姫様の顔がパッと明るくなる。先程までしょげていたのが嘘のように。


 いつのまにか来ていた斉藤が、肩を震わせて笑いを堪えているようだ。あいつめ〜!この状況を楽しんでいやがる。


「…………」


 沖田はというと、相変わらず何を考えているかわからない様子でこちらを見ていた。


永倉は敏姫様に笑っていて欲しいですからね。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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