敏姫と容保、初めてのデート
とめの噂のおかげで敏姫は念願叶って容保と街中を歩いてみるということができた。
城下町は、雪解けの気配をわずかに含んだ冷たい空気に包まれていた。
人々の声、店先の賑わいーーそのどれもが、敏姫には新鮮だった。
私はとめ。敏姫様に拾われて以来敏姫様に忠誠を誓う下働きの女。
今日は敏姫様と容保様が城下町に行くという事で、こっそりとついて来ている。
だって敏姫様の願いを城中に広めたのは私なんだから、その願いが叶うのを見てみたいじゃない。
それに敏姫様が街へ出るなんて初めての事。
何かがあって、姫様が驚いてはいけないわ。
もちろん、容保様を信用してはいますけど……
「見てください殿!人がこんなにいますわ。あっちは鍛冶屋さんかしら?こっちにはお魚があってそれから……」
敏姫様は予想通りというか、人の往来の多さに驚き、行く先々のお店を見ては目を丸くしている。
敏姫様道の途中であんなにふらふらしてはダメですよ〜!ぶつかりますよ!
その時、容保様が姫様の肩をそっと自分の方に寄せた。
「……敏。もう少し側へ」
「えっ!は、はい//申し訳ありません。このような光景は、見た事がないので……ついはしゃいでしまいました……」
「……わかっている」
そう言うと容保様は敏姫様の体をもっと寄せた。
「〜〜〜〜ッ//」
「……本当は、危なっかしいから肩に担ぎたいのだがな」
「とっ、殿ったら!//もう敏姫は担がれるのは嫌でございます//」
「……肩に担がれるのは嫌か……?」
「えっ、嫌と言うか……本当は嫌ではありませんけど……//」
はぁ〜道の往来だというのに何やってんのあの二人は!すっかり二人の世界じゃないか。
どうやら私の心配は無用のようだった。姫様は容保様に任せて大丈夫っぽいし。
(あと、なんか見ててこっちが恥ずかしくなるし……)
私が馬鹿馬鹿しくなって帰ろうと屋敷に戻ろうとした時だった。
ふと、姫様の足が止まった。
可愛い二人ですね。(笑)
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