敏姫、お一人様?
敏姫様はやってみたいことがあるみたいです。
「何をおっしゃいますか!お一人では無謀です!」
「でも一度行ってみたかったのよ」
「せめて旦那様をお連れください」
「何を言ってるの?殿は仕事で忙しいのですから邪魔はしたくありませんわ」
侍女と敏姫様がまた何やら揉めているようだ。最近姫様はとにかく元気がよく、外に出たくて仕方がないらしい。
どうやらそのことで言い争っているようだけど?
私はとめ。この屋形の下働き。道端で飢え死にするってところをたまたま通りがかった敏姫様に拾われてここで働いて以来、敏姫様に忠誠を誓ってる。
よくお話を聞いてみると、敏姫様はお一人で城下町に出たいらしい。
いや、流石にそれはどうかな……
一国の姫君が、誰も伴わずに街へ一人。聞いたこともない。
「本当は私も、殿とデートに行きたいです。でもそれは叶わないから仕方なく……」
(なんだ。やっぱり旦那様とご一緒がいいんだ。そうであれば……)
私は敏姫様たっての願いという事もあり、屋形中に姫様の願いをばら撒いた。
そしてあっという間にその願いは旦那様のところまで届いた。
「そうか……敏姫がまたそんな事を……」
「どういたします殿。いくら城下町とは言っても、お一人では……」
「私も同行しよう」
「えっ?」
「私と街を歩いてみたいという敏姫の願いだ。叶えてやりたい」
「えっ、あの?殿。お仕事は……」
侍従の言葉を無視して、容保はさっさと部屋を出て行ってしまった。
この物語は戦もない優しい世界観で進んでいきます。
敏姫様は生前できなかった事、時間を容保様と一緒に取り戻したいみたいですね。
新キャラの「とめ」が登場しました。とめと敏姫様の話もいつか書きたいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




