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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第六章 新撰組と敏姫

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黒谷になかったもの

容保は永倉に沖田を任せる。

心配だが、永倉には何か考えがあるようで……

 すかさず斉藤が止めに入る。ただでさえ扱いの難しい沖田をこれ以上刺激するなと言いたいのか。


「いやいや、あいつ昔っから捻くれてるんで。斎藤みたいに黙ってるタイプとも違うんですよ」


「……誰が無口だ。俺は結構喋る」


「そうか?お前が思ってるより無口だぞ」


「……」


 斎藤は無言で石を置いた。


 永倉は楽しそうに笑いながら続ける。


「でも総司の扱いなら、まあ多少は慣れてますからね」


「……危険ではないか?」


 容保が問う。


「はっはっは!」


 永倉は豪快に笑った。


「今さら総司ごときに斬られませんって!」


「……そういう問題ではない」


 斎藤がぼそりと返す。


「大丈夫ですよ」


 永倉は笑ったまま言う。


「総司、姫様のことは気に入ってます」


「……」


「だから余計に、わかんなくなってんでしょうね」


 永倉のその言葉に容保は静かに目を伏せた。


 ――敏。


 あの少女は、知らず知らずのうちに、人の心へ入り込む。その上他人(ひと)の気持ちに敏感でーー


 だからこそーー

 放っておけないのだろう。


「……頼めるか、新八」


「お任せください」


 永倉が胸を叩く。


 その横で。


「……ほどほどにしろ」


 斎藤が静かに言った。


「総司は今、不安定だ」


「おっ、珍しく心配してる?」


「……していない」


「はいはい」


 永倉が笑う。


 そのやりとりを見て、容保は小さく目を細めた。


 気づけば。


 この浪士たちは、いつの間にか黒谷へ馴染み始めている。


 敏が笑い、浪士たちが笑い、屋敷に人の気配が増えていく。


 それは、少し前までの静かな黒谷にはなかったものだった。


永倉は個人的に頼れる兄貴分だと思っています。

扱いの難しい沖田に対し、どんな風に対応していくのか。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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