塩見鵜月の冒険
豹魔の郎党の一人、塩見鵜月は買い物に来ていた。
「えへへ〜やっぱわっちはこっちの方が好きなんだよねぇ」
鵜月は女性ものの着物に着替えて女性の化粧を施していた。いや正確にはこちらが鵜月の本当の性別。
鵜月は自分が女性ということを隠して豹魔の下で働いていたのだ。
鵜月がこうなったのは幼い頃。酒癖の悪い親が原因だった。
ある日酒瓶で殴られ、殺されそうになってから死にものぐるいで家を飛び出した。
治安の悪い京都で生き延びるために身を隠し、男たちの慰み者になるのを避けるため、男の化粧を施して過ごした。
その時出会ったのが大塚玄馬だった。玄馬は当時刀鍛冶だったが、自分の作った刀を売るためたまたま来ていた京都で鵜月に出会い、職を探していた鵜月に剣を教えた。
「京都じゃ剣の一つも振るえなきゃ生きていけねぇよ」
そう言って玄馬は打ち立ての刀を鵜月に与えた。
何故玄馬が初対面の鵜月にそんな良くしてくれるのか、一度鵜月は聞いたことがある。
「お前、弟に似てるんだよ。弱いのに、それでも必死に生きようとしてた」
『生きようとしてた』
何かを察した鵜月はそれ以上は聞かなかった。
鵜月にとって玄馬は命の恩人だった。
「適当な行商はいないかな。なるべく早めに帰りたいし。豹魔の旦那は大食らいの上に早食いだからなぁ」
鵜月は二人が遊び呆けているであろう三条の手前、四条に買い物に来ていた。
(確かに玄馬の言う通り、わっちは盗みが上手くねぇ。買う方が早いと思っちまう。この辺が『まだ甘い』って玄馬に言われるところなんだろうな)
などと鵜月が考え事をしながら通りを歩いているとーー
「店主さん、いつもお世話になってます」
鵜月の視界に壬生屯所の台所係・小太郎の姿が目に入った。
玄馬と鵜月の話も書きたいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




