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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四十四章・虎之助の想い

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ここが、虎之助の居場所

 斉藤の優しい声に、虎之助はついに大粒の涙をこぼした。


 *


「……それに、悪いのは虎之助ではない。黒崎豹魔だ」


 立ち尽くしてシクシクと泣き始める虎之助の肩をおとめが抱く。


「ほら、私の言った通りだったろ?斉藤ならきっと虎之助と豹魔は別だと言ってくれるって」


「……うん……」


「じゃあ気を取り直して虎之助も参加だ!!」


「あっ!虎之助さん!」


 その時、おときが笑顔で振り返る。

 虎之助は慌てて涙で濡れた自分の顔を拭いておときを見た。

 

 その笑顔に、兄の影はない。


 ただ、虎之助自身を見てくれる人が、そこにいた。


(おときさん。本当に、無事でよかった……)


「……お邪魔、します」


「わぁ〜!小太郎さん見て下さい。虎之助さんも沢山お菓子を持ってきてくれてますよ!」


 おときが目を輝かせて虎之助の持ってきた籠を覗く。


「よかった、俺一人じゃ間に合わないところだったんです。皆さんおつまみだ何だと言って片っ端から菓子を持っていくので……」


 小太郎がホッとした様子で虎之助を歓迎する。小太郎もいつもの視線を虎之助に向ける。


「……ッ」


 思わず虎之助がおとめの方を振り返った。

 おとめは微笑みながらゆっくりと頷いた。


 斉藤も同じように頷いている。


(とめ、斉藤さん……おときさん、小太郎さん、みんな……)


 虎之助はここに居ていいのだ。


 ーーここが虎之助の居場所。


 その事実が虎之助の胸に優しく広がっていく。


「はい!よかったら皆さんでお召し上がりください!」


 虎之助の一言で、適当組のメンバーはますます盛り上がった。


 その中でひときわ目立つ扇子を広げた容保が呟く。


「そういえば、いい加減虎之助にも報酬を与えないとな。あいつは目立たないが、適当組にはめちゃくちゃ貢献しているからな」


「ええ、殿。私も賛成ですわ!」


 *


「わーい!菓子追加ダァ!ヤッタァ!」


「おいコソ泥椿!お前次々と菓子を懐に入れてるのバレてんぞ!」


 虎之助が持ってきた菓子に早速目をつけた椿に、土方がついに雷を落とす。


「まぁ〜!私の好きな落雁ですわ!はじめさん、あとで二人で書院で食べましょう?」


「ゴフッ!ゲフン!お、おとき……わざわざそんな事を言うな//」


 おときに『二人で』と言われて動揺した斉藤が思わず茶を吹き出した。


「はっはっは!はじめは何を動揺してんだか!思春期の童(わっぱ)でもあるまいに」


「兄さん、ほっぺたにお菓子が付いてますよ。ほら……」


 小太郎がそう言って手拭いで永倉の頬を拭う。その瞬間、長い前髪から小太郎の綺麗な瞳が垣間見えて。

 永倉は一瞬でゆでだこみたいに顔が真っ赤になった。


「永倉も斉藤のことを言ってられないねぇ」


 その様子をおとめが呆れながら眺めて。


「修理殿見ててください!今ならあのお菓子にこの薙刀が届くはず!せいゃぁ!!」


「お雪殿落ち着いてください!!誰もそんな事頼んでいません!」


 いきなり薙刀で菓子を取るという謎提案をし始めたお雪を修理がなだめて。


 こうして適当組のハロウィンは夜通し続いたという……


いつまでハロウィンやってんだって感じですね。ラストにわちゃわちゃした感じが出せてよかったです。

特にお雪殿のはっちゃけ具合が好きです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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