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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四十四章・虎之助の想い

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虎之助の葛藤

楽しそうにしているみんなを虎之助は遠巻きに見ていた。

 壬生屯所の台所にてーー


 夜が明けても適当組のメンバーはまだハロウィンパーティーを各々で楽しんでいた。


 その様子を、かぼちゃのお面を被った虎之助が寂しそうに見つめて立っていた。


 両手には抱えきれないほどの菓子の入った籠を持っていた。


 視線の先には、ツギハギ人形の格好をして永倉のゾンビに追われているおときの姿。


(兄さん……あんな可憐なお方になんてことを……)


「……何してんだい、虎之助」


 背後から聞こえた声に、虎之助はびくりと肩を震わせた。


「お、おとめか。びっくりさせんなよ」


「そんなところで何をしけた面して突っ立ってんだい」


「別に……」 


「別に、って顔じゃないだろ」


 おとめは虎之助の隣に立ち、賑やかな厨房を覗き込んだ。

 笑い声。甘い菓子の匂い。仮装した仲間たち。


 虎之助は、そっと目を伏せる。


「……俺がいたら、おときさんが嫌な思いをするかもしれないだろ」


 おとめは、しばらく黙っていたが、虎之助の頭を拳でこつんと小突いた。


「馬鹿だね、あんたは」


「痛っ!何すんだよ!」


「豹魔の弟だからって、あんたまであいつと同じだと思うのかい?」


「……そうじゃないけど」


「なら、勝手に決めつけるんじゃないよ。それにおときはあんたが豹魔の弟だってことは知らないんだから」


「そ、それは知ってるけど……」


 虎之助はチラリと布団を被っただけのおばけ姿に仮装した斉藤を見やる。

 

 斉藤は呑気に茶を啜っていた。

ハロウィンは終わりましたが適当組はまだ浮かれています。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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