番外編・適当組のハロウィンパーティー・終
思ったより長くなってしまったハロウィンパーティーも、そろそろ終わりです。
「……敏」
「殿……」
敏姫は、思わず頬を染めた。童話の世界で見た王子そのものが自分の目の前に立っている。
気のせいか後光が差しても見える。もしかしてあなたが神??
容保は彼女の前で片膝をつき、そっとその手を取った。
「今宵、私の目に映る姫君は、あなたただ一人です」
「……っ」
敏姫の顔が、みるみる赤くなる。
「殿……皆が見ております……」
「構わない」
容保は微笑み、そしてーー
敏姫の手の甲に、そっと口づけを落とした。
「……あなたは、誰よりも美しい」
「…………」
敏姫は完全に言葉を失った。
頬を染め、瞳を潤ませ、ただ容保を見つめている。
台所が、しん、と静まり返った。
土方も。
斉藤も。
沖田も。
篝も。
おときも。
おとめも。
椿も。
小太郎も。
修理も。
お雪も。
全員が、その光景に見惚れていた。
「……ああ」
おときが、両手を胸の前で握りしめる。
「なんて素敵な光景なのでしょう……!」
容保は敏姫の手を取ったまま、優雅に微笑んでいる。まるで絵に描いたような二人。
もしこの場に絵師がいたら速攻でこの二人を絵に描いていただろう。
敏姫は真っ赤な顔で俯いていた。
「……結局、容保公が全部持ってくんだよなぁ〜!」
永倉の叫びが、屯所の台所に響き渡った。
その後、ハロウィンの菓子は結局椿につまみ食いされ、土方は怒り、永倉がその様子を見て豪快に笑い、永倉は小太郎に怒られ、おとめがまたも飲み比べに勝ち、沖田はまた篝の包帯を巻き直し、修理は胃薬を探し、お雪はなぜか薙刀を構え、斉藤はおときの人形姿を可愛いと思い続けた。
そして容保は、敏姫の手を握ったまま離さなかった。
「敏、たまにはこのような時も必要だな」
「ええ、本当に……」
二人の視線の先には、各々でハロウィンを楽しむ適当組のメンバーがいる。
――適当組のハロウィンは、来年もきっと大騒ぎになるだろう。
* * *
――その賑やかな輪から少し離れた廊下を、虎之助が所在なさげにうろうろしていた。
楽しそうな笑い声が聞こえるたび、そちらに目を向ける。けれど、結局は中へ入ることもできず、手持ち無沙汰に頭を掻いた。
しかし仮装はきちんとしていた。かぼちゃのお面をかぶって。手には抱えきれないほどの落雁やあられを持って。
「……楽しそうだな」
ぽつりと呟いた声は、喧騒に紛れて誰にも届かなかった。
容保公と敏姫様が平和そうで何よりです。
適当組のメンバーもそれぞれ楽しそうで微笑ましいですね。
虎之助も一応適当組のメンバーなんですが、自分の兄豹魔のした事に責任を感じて参加しませんでした。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




