番外編・神保修理のゆううつ・祇園編
引き続き番外編です。気楽に読んでくれたら嬉しいです。
一方その頃。祇園にてーー
「いやあ、祇園というのは実に華やかなところだな!」
ご機嫌な声を上げる男が一人。
会津藩主、松平容保。
普段の彼を知る者ならば、目を疑うような光景であった。
何しろ、いつもは生真面目で、藩主としての責任を一身に背負い、黒谷の屋敷に籠もっているような男である。
その容保が、今や芸妓の舞に目を輝かせ、酒を片手に上機嫌で笑っているのだから。
「殿……あまり羽目を外されませぬよう」
傍らに控える土方歳三が、呆れ半分に釘を刺す。
「いいじゃないか。俺だって、たまにはこういうところで息抜きしたいんだよ」
「……左様ですか」
土方の隣では、斉藤一がいつもの無表情で控えていた。
もっとも、彼も内心では思っていた。
(……この方、本当に我らが主君、松平容保公なのか?でも敏姫様のこともあったしな……)
斉藤は疑問に思ったが、敏姫様が謎の力で回復したということがあり、今回もその類だろうとすぐに切り替えた。
そこで容保が突然、土方の方を向いた。
「なあ、土方」
「はい?」
「勝負しようぜ」
「……勝負?」
土方の眉が、ぴくりと動く。
「題して『どちらが一番、恋文をもらえるか』勝負だ!」
「…………は?」
斉藤が目を見開いた。
土方は一瞬、容保の顔を見つめた後、ふっと口元を緩めた。
「……いいんですか?」
余裕たっぷりの笑み。
そう、この男は普段からよくモテる。
女性からの視線にも慣れているし、甘い言葉の一つや二つ、何の苦もなく口にできる男。
斉藤とは真逆のタイプだ。
何かを忘れている気がするけど果たしてこの勝負はどうなるのか!?
最後まで読んで頂きありがとうございました。




