もう大丈夫だよ、おとき
一方、屯所ではおとめが山門の前をウロウロしていた。
壬生屯所前・山門にてーー
「全くおときは……いつか何かやらかすと思ってたけど……まさか今の京都の街に一人で行くなんて無謀なことをブツブツ……」
話を聞きつけたおとめが、屯所の山門前でああでもないこうでもないとブツブツ言いながら心配そうにうろうろしていた。
カツ、カツ、カツ……
そのとき、朱理の足音が聞こえてきた。朱理は赤い立髪を翻し、馬上の人間を庇うようにゆっくりとこちらへ歩いてくる。
「お…………」
おとめの目の前に、朱理の背中に乗る斉藤と……
「おとき!!」
青ざめた顔で斉藤に抱かれたおときがいた。
その姿を見て、普段は冷静なおとめの顔からさーっと色が引いていく。
「嘘……おとき!おとき!」
いつもお姉様、お姉様と言ってちょこまかとおとめの周りをついてきたおとき。
「こんなに汚れて……髪も乱れて……」
斉藤には目もくれず、おとめはおときを朱理からおろした。
「もう大丈夫だよ、おとき……」
おとめはおときの小さな体を小太郎と一緒に小太郎の小屋に運んだ。
小太郎の小屋は、ほんのりと甘いお菓子の香りがした。
「狭いですが、飯も寝床もありますので」
小太郎の案内で、小屋にしては上等の敷き布団と綿入れがすでに敷いてあった。
「兄さんが黒谷でちょくちょくもらってくれるんです//」
「……おときを寝かせたいから小太郎さんはそっちをお願い」
永倉と小太郎(小菊)の関係を知っているおとめは何も聞かなかった。
小太郎(小菊)に永倉がかなり惚れ込んでいるという事は、永倉が蟄居を命じられた時に嫌と言うほど知っている。
おとめは黙ったまま、冷たくなったおときの手をずっと握っていた。
なんだかんだ言っておとめさんはおときさんに優しい。ガン無視される斉藤さんおもしろい(笑)
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