運命の相手
おときによって斉藤の刀と殺気は納められた。
豹魔は目を丸くしておときを改めて見る。
「まさか……」
こんな殺気の中、剣士同士が本気で斬り合っている中。斉藤の腰に手を回してその動きを止めて。
「おとき……と言ったか」
少し歪んだかんざしを大事そうに握りながら。
白い肌。夏の風鈴のように耳心地の良い声。
豹魔は自分の胸が高揚するのを感じた。熱くて苦しい。
こんな感覚は初めてだ。
(もしかしてこの女が、俺の運命の相手……?)
『……間違いない。彼女こそ俺の運命の相手だ……!』
本当にそうだったのか?
などと豹魔がボケっとしている時だった。豹魔の頭上からドサドサと土嚢入りの網が降ってきた。
「ぐわぁ!!なんだこりゃ!」
「隙だらけだよ!間抜け!」
いつのまにか待機していた椿が網と共に豹魔の前に降り立った。
椿は目の前の巨体を揺らす獣のような男を見ても怯まなかった。
「なっ、なんだお前!どっから湧いてきやがった!」
豹魔の大きな手が、椿を掴もうと網の間から伸びた。
「どこからでもいいだろ!あんたには関係ない!」
そう言って椿は豹魔に石灰を浴びせた。
「ぐぁあ〜!!」
「朱理!!」
椿の合図で、朱理が駆け寄る。
「朱理、斉藤さんとおときさんを屯所まで頼むわ!」
椿のその言葉に、斉藤が首を傾げる。
「……お前は行かないのか?朱理なら三人くらい余裕で……」
斉藤の問いに、椿は少し頬を赤らめた。
「私は後から土方と行く!//」
その時、黒い馬に乗った土方がこちらに手を振っているのが見えた。
隙だらけだよ!間抜け!
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