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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四十二章・斉藤と豹魔

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運命の相手

おときによって斉藤の刀と殺気は納められた。

豹魔は目を丸くしておときを改めて見る。

「まさか……」


 こんな殺気の中、剣士同士が本気で斬り合っている中。斉藤の腰に手を回してその動きを止めて。


「おとき……と言ったか」


 少し歪んだかんざしを大事そうに握りながら。

 

 白い肌。夏の風鈴のように耳心地の良い声。


 豹魔は自分の胸が高揚するのを感じた。熱くて苦しい。

 こんな感覚は初めてだ。


(もしかしてこの女が、俺の運命の相手……?)


『……間違いない。彼女こそ俺の運命の相手だ……!』


 本当にそうだったのか?


 などと豹魔がボケっとしている時だった。豹魔の頭上からドサドサと土嚢入りの網が降ってきた。


「ぐわぁ!!なんだこりゃ!」


「隙だらけだよ!間抜け!」


 いつのまにか待機していた椿が網と共に豹魔の前に降り立った。


 椿は目の前の巨体を揺らす獣のような男を見ても怯まなかった。


「なっ、なんだお前!どっから湧いてきやがった!」


 豹魔の大きな手が、椿を掴もうと網の間から伸びた。


「どこからでもいいだろ!あんたには関係ない!」


 そう言って椿は豹魔に石灰を浴びせた。


「ぐぁあ〜!!」


「朱理!!」


 椿の合図で、朱理が駆け寄る。


「朱理、斉藤さんとおときさんを屯所まで頼むわ!」


 椿のその言葉に、斉藤が首を傾げる。


「……お前は行かないのか?朱理なら三人くらい余裕で……」


 斉藤の問いに、椿は少し頬を赤らめた。


「私は後から土方と行く!//」


 その時、黒い馬に乗った土方がこちらに手を振っているのが見えた。

隙だらけだよ!間抜け!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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