↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四十二章・斉藤と豹魔

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

456/488

斉藤の刀を止めたもの

ふわりと、鈴蘭の香りがした。

 斉藤が刃を振り下ろそうとした、その時。


 ふわり。


 微かに、鈴蘭の香りがした。


「……はじめさん」


 背後から聞こえた、聞き慣れた声。


 斉藤の指が、刀の柄を握ったまま止まる。


「はじめさん……」


 小さなぬくもりが、斉藤の背中を抱きしめてきた。

 夏の風鈴のような耳触りの良い声。

 微かに香る、鈴蘭の香り。


 そして、この殺気の中に平気で突っ込んでくる無謀な存在。


 こんなことができるのは一人しかいない。


「私は大丈夫です」


 涼やかな声が、初夏の風のように透き通る。


「『まいにち、あなたをおもっています』」


「…………っ……」


 それはまさに、おときがまだ「あ」と「お」の区別が付かず、斉藤の書院で文字を習っていた時。


「あ」と「お」の区別ができた褒美にと、一緒に真珠の櫛を買いに、二人で街に出た時。


 真珠の櫛を盗人に見つけられて、おときがその盗人に害されそうになった時。


 斉藤がおときを守ろうとして、盗人に斬りかかった時。


 斉藤の動きを止めた言葉だった。


(おとき……お前は……)


「『まいにち、あなたをおもっています』」


 おときはそう言って、斉藤の背中に頬を擦り付ける。


 おときのその言葉に、すっかりさっきまでの毒気を抜かれた斉藤は刀を納め、代わりに腰に回された小さな手を、確かめるように握った。


「なっ……」


 豹魔は初めてこの殺気の渦の中に入ってくる人間を見た。


 帯刀もしていない、武力を持たない無謀な人間をーー


 それはあまりに可憐で、小さくて。しかも女子(おなご)


「嘘だろ……」


おときさんが斉藤さんを止めたのはこれで三回目です。

盗人から斉藤がおときを守るエピソードはまだ二人が恋人同士ではない時、ep.117の「まいにち、あなたをおもっています」を読むとそういう事ォ?てわかると思います。


それにしてもおときさん無謀すぎる。


最後まで読んで頂きありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。