守るための刀
斉藤と豹魔、両者一歩も引かない戦いが続いていたかに見えたその時、ついに豹魔が……
ーー強いやつと戦いたい。
ーー俺よりも強いやつと。
グルンッ!
斉藤はその力に逆らわず、刀を引きながら身体を回転させた。
斉藤の引きに、豹魔の重心が前へ傾く。
その僅かにできた隙を、斉藤は見逃さなかった。
今度は斉藤が豹魔の着物を掴み、そのまま地面に叩きつけた。
「おおっ!?」
巨体が大きく揺らぐ。
斉藤は一歩踏み込み、豹魔の胸元へ刀の切っ先を向けた。
「……そこまでだ」
斉藤の声は、静かだった。
豹魔は息を荒げながら、目の前の刀を見つめる。
それでも、その口元には笑みが残っていた。
「……へっ……まだ終わっちゃいねぇよ……」
豹魔は地面を蹴り、そのまま太刀を振り下ろした。
(こいつは確かに強い。だがーー)
「動きが粗い……」
「えっ?」
斉藤は瞬時に体を捻り、豹魔の太刀をかわしていた。
「嘘だろ?」
「…………」
斉藤は何も言わずに刀の柄で豹魔の腕を弾き、再び素早く足払いをかけた。
「うぉっ」
次の瞬間、ついに豹魔の巨体が地面へ崩れ落ちた。
豹魔は地面に片手をつき、荒い呼吸を繰り返す。
「……くそ……!」
それでも、豹魔はゆっくりと顔を上げた。
赤茶色の瞳が、斉藤を睨みつける。
「……まだ……やれる……!」
(前までの俺ならこんな骨のあるやつと、一日中でも戦っていたかった。だが今はーー)
ふわりと、鈴蘭の香りが斉藤の鼻腔を掠める。
『はじめさん……』
『すぐに行く。だから、椿と一緒に待っていてくれ』
(……俺はおときに戻ると約束した)
ーー強いやつは、もう求めない。代わりにーー
「……立てるのなら、立ってみろ」
ーーこの刀は、愛しい人を守るためにあるのだ!
このシーンを書くためにバトルシーンが長かったです。
この刀は愛しい人を守るためにある。
かっこよすぎてもう何も言えねえ……
最後まで読んで頂きありがとうございました。




