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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四十二章・斉藤と豹魔

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虎之助の兄・黒崎豹魔

おときが完全に視界から見えなくなるのを確認した斉藤は、改めて目の前の巨体に目を向けた。

「……くっそ。まだ痛え!」


 豹魔は、手首をさすりながら斉藤を見ていた。

 

 先ほどまでの下卑た笑みは消えていない。

 

 その赤茶色の瞳には、明らかな警戒と、抑えきれない興奮が浮かんでいた。


「……やるじゃねぇか」


 豹魔は首を鳴らした。


「今の一撃、なかなか効いたぜ。だがよォ……」


 大きな肩を揺らしながら、一歩踏み出す。


「俺を相手に、そんな細っこい刀でどこまでやれるかねぇ?」


 斉藤は答えない。

 ただ、刀の切っ先を豹魔へ向けたまま、静かに立っていた。


「……お前、名前は?」


「斉藤一」


「斉藤……一、か」


 豹魔はその名を舌の上で転がすように呟いた。


「いいねぇ。覚えたぜ」


 そして、獣のような笑みを浮かべる。


「俺は黒崎豹魔だ。……さあ、楽しませてくれよ」


(黒崎だと……?じゃあこいつが、虎之助の兄?)


 黒崎豹魔が潜伏していると言う廃寺には虎之助と適当組で一度行った事があった。

 その時は豹魔に仕えている郎党のみが出てきて、肝心の豹魔はいなかった。


 おまけにこの『黒崎豹魔』は、斉藤が『いつか手合わせしたい奴リスト』に載っていた。


「そうか……お前が……」


「なぁにブツクサ言ってんだ!!」


 豹魔が地を蹴った。


 巨体に似合わぬ速さで間合いを詰め、拳を振り下ろす。

 斉藤はわずかに身体を捻ってそれをかわした。

 拳が地面を叩き、乾いた音が響く。


「おっと、逃げんのかよ!」


 豹魔は間髪入れず、もう一度踏み込んだ。

 

 今度は斉藤の刀を恐れる様子もなく、肩からぶつかるように突進してくる。

 

 斉藤は一歩だけ退き、刀の峰で豹魔の腕を受け流した。

黒崎豹魔は斉藤の「いつか手合わせしたいリスト」に載っていた男です。(ep.99 虎之助の兄)

次回からはバトルシーン?かなぁ。

長々と引っ張ってすみません。個人的にこのおときさんと斉藤さんのCPは私の推しカプなので力が入ります。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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