はじめさんがくれたかんざし
※今回少しおときさんが可哀想かもしれません。
その時、豹魔はおときの髪に目を留めた。
そこには、鈴蘭のかんざしが揺れている。
「そのかんざし気になってたんだよな。街で一番目立っていて、ゆらゆら揺れてよォ。ったく、可愛いったらないぜ」
「……っ!」
おときは咄嗟に、かんざしを手で覆った。
(これは……これだけはだめ!!)
「これは……大切なものなんです……!」
「ああ?」
豹魔は眉を上げた。
別にかんざしをどうこうしようとはこの時点で豹魔は思っていなかったが、今まで震えるだけだったお嬢様が庇うかんざしに興味が湧いた。
「そんなに大事なものなのかよ」
ニヤニヤしながら聞く豹魔に、おときは声も出せず、ただ何度も頷いた。
「……はじめさんが、くださったものです……」
その名を口にした途端、おときの目から大粒の涙が落ちた。
(はじめさん…………)
豹魔は一瞬で面白くなさそうに顔を歪めた。
「……なんだ、男からの贈り物かよ」
「…………」
おときは答えなかった。
ただ、かんざしを守るように、両手をぎゅっと握りしめていた。
「そんなもんがいいのかよ。俺がもっといいのを買ってやるぜ。そんな地味なやつより、金の装飾が縁取られた派手なやつ!」
そう言って豹魔は、おときの髪に手を伸ばした。
豹魔はおときのかんざしなどどうでもよかった。
自分のものに他の男の贈り物が飾られている。
その事実が気に入らなかっただけで。
「……いや……!」
おときは首を振り、必死にかんざしを押さえた。
「これは……はじめさんから……!」
「しつけえなァ!」
豹魔の大きな手が、鈴蘭の飾りを乱暴に掴む。
おときの顔から血の気が引いた。
「……お願い……それだけは……!」
かんざしが、ぎしりと嫌な音を立てた。
「そんなに大事なら、目の前で壊してやろうか?」
豹魔が笑った、その時だった。
「……その手を離せ」
低く、静かな声が響いた。
豹魔の手が止まる。
振り返った先には、刀の柄に手をかけた斉藤一が立っていた。
その瞳には、いつもの静けさなど微塵もなかった。
おときさん……泣( ;∀;)
黒崎豹魔許せねえ。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




