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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四十一章・おときと豹魔

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後悔先に立たず

茶屋の前でついに出会ってしまったおときと豹魔。

豹魔のような男に会ったことのないおときは戸惑うばかりで……

 おときは震えながら何とか男の腕を振り解こうとする。だが残念ながら腕は豹魔にガッチリと掴まれてビクともしない。


「おい、そんなに怖がるなよ。俺はお前に興味があるだけだぜ?」


 豹魔は、泣きそうな顔で震えているおときを見下ろした。


「俺の言う通りにすれば悪いようにはしねぇって。すぐそこに馴染みの店があってだな。そこで休もうぜ。こんな茶屋でなくて」


 おときは悔(く)いていた。

 

 虎之助が屯所に戻る時に、わがままを言わず帰ればよかったと。


 斉藤に怒られるくらいなんだ。

 せいぜい算術か、お菓子抜き程度のこと。


 仕方無さそうに笑って、結局はおときを許す斉藤の姿が脳裏に浮かんで、おときは思わず泣きそうになった。


「……あ、あの……私、もう帰らないと……」


(はじめさん!はじめさん!会いたいです……私、はじめさんの所に帰りたいです……)


 おときはやっとのことで声を振り絞った。


「帰る?せっかく俺が声をかけてやったってのにか?」


 豹魔が一歩近づく。

 おときは逃げようとした。

 けれど、豹魔はムキになっておときの腕を掴む。


 瞬間、おときの身体が強張った。 


「い、痛い……!」


「おいおい、そんなに騒ぐなよ」


 豹魔は面白がるように笑い、おときの顔を覗き込んだ。


 おときの目から、とうとう涙がこぼれた。


「……離してください……」


「へえ。こんなんで泣くのか。ずいぶんと大事に育てられたお嬢さんみてえだな。色も白いし。体もさぞかし白くて傷ひとつないんだろうなぁ」


 ははは、ともう一度豹魔は下卑た笑いを漏らす。


 おときはもう声も出せない。


何だコイツ〜!!今まで出てきた敵役で一番やばい奴じゃない?

おときさん悪いのはあなたじゃない豹魔だよ!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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