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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四章 沖田総司という男

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一番怖いのは……

油断ならない沖田にとめは警戒心を強めるが、敏姫は気にもしてないようで……

 沖田は、しばらく目を丸くしていたがやがてふ、と微笑んだ。


「……なるほど。じゃあ……」


 沖田はまたすぐに貼り付けたような笑顔を作り、くるりと踵を返す。


「しばらく観察させてもらいますね」


「観察!?」


 私の言葉に沖田が背を向けたまま答える。


「ええ」


 振り返りもせず、ひらりと手を振る。


「……どこまで怖がらないのか、興味が湧きました……」


 今ちょっと物騒な事いわなかった??


(やっぱりこの人、危険人物だよ!!姫様なんで気付かないの??)


 姫様に目を向けると、沖田の背に向けて同じように手を振っていた。


 姫様は怖くないの……?


「……総司」


 低い声が廊下に静かに落ちる。気づけば、私の背後に斎藤一と永倉新八が立っていた。


 こ、この二人も気配がしなかった!なんなのこの人たち?気配を消す訓練でもしてるの?


「余計なことをするな」


「してませんよ」


 沖田は軽く答える。


「ただ見てるだけです」


「それが余計だ」


「はは」


 軽く笑うと、そのまま沖田は去っていった。


「……とめ」


「はい?」


「沖田さんは……不思議な方ですわね」


 それで済ませるんかい!!


 私は思わず天を仰いだ。


(熊二人に加えて、妙なのがもう一人……)


 一人は剣のことになると周りが見えなくなる男。

 一人はやたら声がでかい豪快な男。

 そしてもう一人は……


 油断のならない、得体が知れない男。


 でも。


 ふと、さっきの沖田の表情が頭をよぎる。


(……『面白い』か)


 あの男があんな顔をするなんて。


(……姫様、ひょっとしたら一番怖いのは、あなたの方かもしれませんよ)


 庭には、変わらず穏やかな風が吹いていた。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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