一番怖いのは……
油断ならない沖田にとめは警戒心を強めるが、敏姫は気にもしてないようで……
沖田は、しばらく目を丸くしていたがやがてふ、と微笑んだ。
「……なるほど。じゃあ……」
沖田はまたすぐに貼り付けたような笑顔を作り、くるりと踵を返す。
「しばらく観察させてもらいますね」
「観察!?」
私の言葉に沖田が背を向けたまま答える。
「ええ」
振り返りもせず、ひらりと手を振る。
「……どこまで怖がらないのか、興味が湧きました……」
今ちょっと物騒な事いわなかった??
(やっぱりこの人、危険人物だよ!!姫様なんで気付かないの??)
姫様に目を向けると、沖田の背に向けて同じように手を振っていた。
姫様は怖くないの……?
「……総司」
低い声が廊下に静かに落ちる。気づけば、私の背後に斎藤一と永倉新八が立っていた。
こ、この二人も気配がしなかった!なんなのこの人たち?気配を消す訓練でもしてるの?
「余計なことをするな」
「してませんよ」
沖田は軽く答える。
「ただ見てるだけです」
「それが余計だ」
「はは」
軽く笑うと、そのまま沖田は去っていった。
「……とめ」
「はい?」
「沖田さんは……不思議な方ですわね」
それで済ませるんかい!!
私は思わず天を仰いだ。
(熊二人に加えて、妙なのがもう一人……)
一人は剣のことになると周りが見えなくなる男。
一人はやたら声がでかい豪快な男。
そしてもう一人は……
油断のならない、得体が知れない男。
でも。
ふと、さっきの沖田の表情が頭をよぎる。
(……『面白い』か)
あの男があんな顔をするなんて。
(……姫様、ひょっとしたら一番怖いのは、あなたの方かもしれませんよ)
庭には、変わらず穏やかな風が吹いていた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




