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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四章 沖田総司という男

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僕が怖くないんですか?

敏姫に興味深々と言った感じの沖田にとめはたじろぐ。

一方敏姫様は……

(ちょっと!?いきなり何言ってんのこの人!!)


「だって変じゃないですか」


 さらりと続ける。


「危ない目に遭っても気づかないし」


「うっ……それは//」


 そこはハッキリ言うのね!!


「それなのにーー」


 沖田は一歩、距離を詰めた。

 足音ひとつ立てず近寄る沖田に、私は思わず姫様の前に出る。


「……ちょっとあなた……」


「僕を怖がらない」


 軽く言われて、ぴたりと動きが止まる。


(こ、この人……やっぱり普通じゃないわ)


「全然怖がらない」


 沖田の視線は、まっすぐ姫様に向けられていた。


「普通なら、もっと怯えるはずなのに」


「……」


 姫様は、しばらく沖田を見つめていたが。

 やがてふわりと微笑んだ。


「……そうでしょうか?」


 静かに言った。


「……だって、守ってくださるのでしょう?」


「……え」


「熊さんたちも」


 姫様は二人がいるであろう屯所の方を見る。


「そして、沖田さんも。私を守るためにいるのだと殿は仰ってくださいました」


 その一言で。


 沖田の表情が、わずかに変わった。


(……今、沖田の雰囲気が何か変わった?)


 でも私がそう感じたのは一瞬だけのことだった。

 沖田はすぐに、いつもの得体の知れない笑みを貼り付けた。


「……買いかぶりですよ」


「そうかしら?」


「ええ」


 沖田は肩をすくめる。


「僕、あんまりいい人じゃないので」


 絶対嘘でしょこの人……


「……でも」


 姫様は首を傾げる。


「悪い人には見えませんわ」


「……」


 その言葉に。


 沖田は、しばらく何も言わなかった。


 ……え?黙った?


 不思議に思って見ると、こちらへ視線を向けているであろう沖田の顔は逆光で見えない。いや怖いよ!!


「……面白いですね」


 ぽつりと、そう呟く。


「姫様」


 少しだけ声が低くなる。


「僕のこと、怖くないんですか?」


「?はい」


 えっ即答??


「どうして?」


「……なんとなく、ですわ」


 姫様は微笑む。その瞳には怯えも、恐れもない。


(その『なんとなく』で生きてるのが一番怖いんですけどね!?)


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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