僕が怖くないんですか?
敏姫に興味深々と言った感じの沖田にとめはたじろぐ。
一方敏姫様は……
(ちょっと!?いきなり何言ってんのこの人!!)
「だって変じゃないですか」
さらりと続ける。
「危ない目に遭っても気づかないし」
「うっ……それは//」
そこはハッキリ言うのね!!
「それなのにーー」
沖田は一歩、距離を詰めた。
足音ひとつ立てず近寄る沖田に、私は思わず姫様の前に出る。
「……ちょっとあなた……」
「僕を怖がらない」
軽く言われて、ぴたりと動きが止まる。
(こ、この人……やっぱり普通じゃないわ)
「全然怖がらない」
沖田の視線は、まっすぐ姫様に向けられていた。
「普通なら、もっと怯えるはずなのに」
「……」
姫様は、しばらく沖田を見つめていたが。
やがてふわりと微笑んだ。
「……そうでしょうか?」
静かに言った。
「……だって、守ってくださるのでしょう?」
「……え」
「熊さんたちも」
姫様は二人がいるであろう屯所の方を見る。
「そして、沖田さんも。私を守るためにいるのだと殿は仰ってくださいました」
その一言で。
沖田の表情が、わずかに変わった。
(……今、沖田の雰囲気が何か変わった?)
でも私がそう感じたのは一瞬だけのことだった。
沖田はすぐに、いつもの得体の知れない笑みを貼り付けた。
「……買いかぶりですよ」
「そうかしら?」
「ええ」
沖田は肩をすくめる。
「僕、あんまりいい人じゃないので」
絶対嘘でしょこの人……
「……でも」
姫様は首を傾げる。
「悪い人には見えませんわ」
「……」
その言葉に。
沖田は、しばらく何も言わなかった。
……え?黙った?
不思議に思って見ると、こちらへ視線を向けているであろう沖田の顔は逆光で見えない。いや怖いよ!!
「……面白いですね」
ぽつりと、そう呟く。
「姫様」
少しだけ声が低くなる。
「僕のこと、怖くないんですか?」
「?はい」
えっ即答??
「どうして?」
「……なんとなく、ですわ」
姫様は微笑む。その瞳には怯えも、恐れもない。
(その『なんとなく』で生きてるのが一番怖いんですけどね!?)
最後まで読んで頂きありがとうございました。




