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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第四章 沖田総司という男

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興味を持った男・沖田

盗人騒動からしばらくして、黒谷のお屋敷には穏やかな時が流れていた。

 会津藩・黒谷のお屋敷ーー昼下がり。


 庭にはやわらかな陽が差し込み、風が草木を揺らしていた。


「……気持ちのいい日ですわね」


 姫様は縁側に腰掛け、穏やかに微笑んでいる。


 その横顔を見ながら、私はほっと息を吐いた。


(……今日は平和だわ)


 先の「盗人騒ぎ」が嘘のようだ。


 熊二人も今日は離れたところで控えているし――


(よし、今日は何も予定はないし、何も起きない)


 そう思った、その時だった。


「へぇ」


 軽い声が、すぐ後ろから落ちた。


「ずいぶん油断してるんですね」


「ひゃあっ!?」


 私は思わず飛び上がる。


 振り返った先にいたのはーー


 沖田総司……


「……またあなたですか!!」


 思わず声が裏返る。


「またとは失礼ですねぇ」


 沖田は、くすくすと笑った。


 まるで何事もなかったかのように。


 ……この人、気配をまるで感じなかった。いつもこんな感じなの?


 盗人のふりをしていた時には気配を感じたけど、あれはもしかしてわざとだったのかしら?


 ーーあの時はあの時で不気味だった。

 どっちにしても油断ならない男……


「こんにちは、姫様」


 沖田は笑顔を浮かべ姿勢を正し、丁寧に一礼する。


「……こんにちは」


 姫様は、首をかしげながらも、にこりと微笑んだ。


(普通に返した……?姫様は感じていないのかしら。この男の冷たい雰囲気、得体の知れない独特の空気を……)


 先の一件を考えると、もっと警戒してもいいと思うんだけど……


「……何か御用ですの?」


「いえ」


 沖田は首を振る。


「ただ、気になっただけです」


「……?何がですか?」


 姫様が不思議そうに尋ねる。


 その問いに、沖田はほんの少しだけ目を細めた。


「姫様です」


「……え?」


 沖田のその一言で、空気が変わった。


沖田は敏姫様に興味がありそうですね。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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