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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第三章 不穏な影

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姫様の護身術

斉藤と永倉の手引きで敏姫は護身術を受けることになったが……

「ではまず」


 斎藤が一歩前に出た。


「相手に腕を掴まれた時」


 いやいきなり物騒!!私の話聞いてた!?この熊二人は私の言葉を無視しすぎ!


「こうする」


 斎藤はゆっくりと自分の手首をもう片方の手で掴み、くるりとひねって外す。


 動きは驚くほど小さい。


「……力ではなく、向きだ」


「向き……」


 姫様が真剣な顔で見ている。


「やってみるか?」


「はい……!」


 斎藤がそっと姫様の手首に触れる。斉藤の無骨な手が、姫様の細い腕を折ってしまいそうに見えた。


 ちょっと!優しく!!優しくよ!?


「……引くな」


「は、はい……」


「こうだ」


 そう言って姫様は斉藤にならってくるっと腕を回すとーー


「あっ」


 いとも簡単にするり、と外れた。


「……できましたわ!」


 姫様の顔がぱあっと明るくなる。


 えっ?できた!?今ので!?斉藤がわざと外したように見えたけど……


「筋がいいな」


 斎藤がぼそりと言う。


(いや絶対気のせい!!)


「おお〜!すごいじゃないですか姫様!」


 永倉が大きく頷く。


「もう一回いきましょう!」


「はい!」


 何度か繰り返すうちに。


「……外せましたわ!」


「よし!」


「いいですねえ!」


 三人で盛り上がっている。


(……なんだろう、この光景)


 つい昨日まで床に伏せっていた姫様が。


 今は庭で、浪士組の男たちと笑いながら動いている。


(……不思議だなぁ。それに姫様のお顔、ものすごく楽しそう……)


 そんな顔をされると、もう私は何も言えないじゃないですか……


「では次だ」


 斎藤が静かに言う。


(えっ?まだあるの!?終わる雰囲気だったじゃん!)


「危ないと感じたら」


 斉藤はそこで一呼吸置いた。


「……逃げろ」


「……え?」


 姫様が目を瞬かせる。


「それが一番だ」


「……逃げる……」


「戦う必要はない」


 その言葉に、永倉も頷いた。


「そうそう!姫様は戦う役じゃねえですからね!」


 そうそう。わかってるじゃない永倉。


「危ないと思ったら、俺たちを呼んでください」


「……はい」


 姫様は少しだけ考えてから、素直に頷いた。


「それでも姫様が気付かなかったその時はーー」


 斎藤と永倉が、一瞬だけ視線を交わした。


「その時は」


 永倉が、にっと笑った。


「俺たちが気づきます」


「……え」


「姫様が気づかなくても、大丈夫です」


 今度は斎藤が、静かに続ける。


「守ります」

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが斉藤はわざと外しています。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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