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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第三章 不穏な影

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敏姫と二人のでかい熊

斉藤と永倉を護衛につけるという容保の言葉に、敏姫は目を輝かせた。

 会津藩 黒谷のお屋敷ーー


「街へ行きたいですわ!」


(やっぱりこうなった!!)


 私は思わず天を仰いだ。


 先ほど、容保様から「斉藤と永倉の護衛を付ける」というお話を聞いた姫様は、それはもう目を輝かせてしまって。


「だってせっかく殿が私を思って熊さん達を護衛に選んでくださったのでしょう?」


 あの方たちは熊じゃないんですけど……


「街へ出て証明したいわ。護衛の熊さん達がいかに私を守ってくれるかを」


 ……そうやって殊勝なことを言って。


「ただ単に街に行きたいだけでしょう?」


「えへへ……//」


 笑って誤魔化してるけどさぁ……姫様が思うほど甘くはないと思うよ。

 私は経験したから知ってるけど、街には色んな人がいる。優しい人もそりゃいるけど、悪い人も当然いるわけで……


(ああ〜嫌な予感がする!)


 私が止める間もなく、姫様はさっさと準備をしてしまった。


「うふふ、街に出るなんて久しぶりね!」


 姫様の弾けるような笑顔を見て、私は軽く息を吐いた。


(この笑顔には敵わないなぁ……)


 * * *


 京の町は今日も賑やかだった。


 ……ただし。


「……」


「……」


(空気が重い……)


 その原因は明らかだった。


 浅葱色の羽織に、がっしりとした体格。

 片や無言で鋭い目つきの男、片や妙に堂々としている大男。


 そしてその間に、一人で楽しそうな様子の小さな姫様。


(いや……怖いって!!この構図!!)


 街の人は関わり合いになりたくないとばかりに三人を自然と避けていく。

 子どもは親に引き寄せられ、商人は視線を逸らす。


 ……でしょうね!


「まあ、今日は人通りが少なくて歩きやすいですわね」


「……そ、そうですね。ははは」


(違います姫様、それ全部あなたの後ろの熊二人のせいです)


 とは言えないので、私は曖昧に笑った。


「姫様、足元にお気をつけて」


「ありがとう、とめ」


 ……その時だった。


 ほんの一瞬、空気がひりついた。後ろの熊二人も気付いたようで、斉藤が永倉に視線をおくる。


(何、今の……)


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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