刀の稽古に斉藤も参戦?
最初は剣の稽古を止めていた斉藤。しかし徐々に様子がおかしくなっていって……
私が姫様を止めようとしたその時ーー
「……構えが違う」
斎藤がすっと近づいた。
「足はこうだ」
「えっ……あ……はい……」
「腕に力を入れるな。振るだけでいい」
えー!!斉藤が教えてる!?さっきまで止めてたのに!?
もうこの浪士組やだ!
きっと剣のことになると見境いがなくなるんだわ!
「よーし!いってみましょう!」
「えいっ……!」
――ぶんっ
スカッ
空振り。でしょうね……
私はというと。もう止めるのは諦めていた。あの青熊二人を相手に敵うわけがないし、剣のことになるとムキになるし。
本当に熊みたい……
……ここ屋敷だよね。山じゃないよね??
台所で聞いた話では浪士組(新撰組)は十九人居るという。
こんな野生の熊みたいな男があと十七人も居ると思うと想像しただけで疲れる。
「あっ」
「ははは!惜しい!」
「もう一度!」
「えいっ!」
――すぽん
藁に軽く当たっただけで、全く手応えがない。
「……難しいですわ……」
姫様がしゅんとする。
「ならこうだ!」
そう言って永倉が姫様の背後に回る。
「こうやって振るんですよ!」
「きゃっ!?」
(近い近い近い近い!!)
その姿はまるで熊に羽交い締めにされているうさぎ!私は思わず叫びそうになる。
その瞬間。
「ーー敏!!危ない!!」
聞き慣れた声、まるで救世主、耳障りのいい声が、庭に響いた。
「殿!」
容保様が、ものすごい勢いで駆けてくる。
(来たーーーー!!この場を納めることのできる唯一のお方!)
「……敏!大事ないか?!」
姫様の手から木刀をそっと外し、その肩を引き寄せる。
「怪我はないか」
「は、はい……大丈夫ですわ……」
(完全に過保護モードだけど、この場を納められそうな人は容保様くらいしかいないもの……よかった……)
私は容保様が来たことに安心してその場に崩れ落ちた。
……寿命が縮んだわ。確実に。
斉藤は剣のことになると血が騒ぐみたいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




