俺を苦しめないでくれ!
場所は変わってここは黒谷。
会津藩・黒谷のお屋敷の侍女部屋にてーー
おとめに捕まって今日も小菊(小太郎)は着飾られていた。
「……あの、毎回これをするんですか?」
「ん?んー?どうだろうねぇ?永倉が思ったより……」
言い淀むおとめに焦ったのか、小菊が振り向く。
「兄さんがどうかしたんですか?ひょっとして熱が出たとか……」
「……ある意味熱は出てるね。しかも重症だ」
小菊はそれを聞いて崩れ落ちた。
「そ、そんな……兄さんが……兄さんは何も悪くないんです。兄さんは俺を守って、助けてくれただけなのに……」
「いや落ち着いて。永倉はぴんぴんしてるよ。ただねぇ……永倉はあんたが……」
「えっ?」
* * *
黒谷・客人用の離れ座敷ーー別名・永倉の拷問部屋にてーー
「兄さん、遅くなりました」
ゴロゴロと部屋を転げ回っていた永倉の耳に、待ち侘びた声が聞こえた。
「小菊!!」
永倉の目の前には薄紫の着物を着て、いつもは目が隠れるくらいの前髪が整えられ、ざんばらだった黒髪は美しく結い上げられてその先には桔梗のかんざし、唇にはほんのりと紅がさした小菊の姿がーー
「だからなんでそんな俺の前でだけ綺麗なんだよ!!!!泣」
「すみません兄さん、今日もおとめさんに捕まってしまって……」
おとめさん!!もう俺を苦しめるのはやめてくれ!
密かに楽しんでるのはわかってるんだぞ!!泣
「兄さん、今日も昼餉を作って来ました。召し上がってください。お薬も、ちゃんと飲んでくださいね、いくら体が元気でも油断はならないですか……ら……」
小菊が言い終わらないうちに、永倉はたまらなくなってその体を抱きしめていた。
やはりおとめさんは面白がっていたのです。笑
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