一方その頃永倉の兄さんは……
帰り道、やいのやいのと沖田と篝が仲良く喧嘩していた。
「まだ持てるぞ、小太郎それは?」
篝が空いている方の手をひらひらさせる。
「……これは俺の個人的なものなので//兄さんに、作ってあげたくて……」
そう言って小太郎がぎゅっと抱きしめていたのは、砂糖だった。
沖田と篝は同時に顔を見合わせる。
「馬鹿犬//少し持ってやろうか?」
「山猫こそ。その味噌甕と僕の荷物、交換しましょうか?」
「だ、誰がお前の力を借りるか//本当馬鹿犬だな!」
「こっちこそ願い下げですよ!全くそんな細い腕のどこにそんな力があるのか知りたいもんですね!」
「帰ったらぶっ殺す!」
「望むところですよ!」
小太郎は沖田と篝の夫婦喧嘩を見ながら思った。
兄さん、どうしているかな……
* * *
黒谷・客人用の離れ座敷にてーー
「も、もうすぐ昼餉の時刻なのに小菊が来ない!!」
「いや、まだ巳の刻(午前9時〜11時)だけど……」
おとめが永倉に茶を用意しながら言う。
永倉が小菊、小菊とうるさいのでいい加減おとめは嫌気がさしていた。
「はぁ、余計なことしなければよかったかねぇ?」
余計なこととは、小菊を着飾ったことだ。おとめはその責任を感じて永倉の離れに来ているのだが……
「小菊、お前は昼餉は持って来るけど、また夜には去ってしまうのか……」
そばで永倉の嘆きを聞いていたとめは責任を感じながらも、不謹慎ながら少し面白いとも思ったのである。
おとめさんは面白がってますよね?多分。
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