刀の稽古に敏姫も?
黒谷のお屋敷にて、今日も敏姫様は健康的な朝を過ごしていた。すると外から何かの音がして……
会津藩 黒谷のお屋敷にて。
今日も姫様はたくさん朝餉を召し上がって、いちいちこれも美味しい、これもこれも!と感動してくれるので。私たち下働きも作り甲斐があるというもの。
以前の姫様からは考えられもしなかった光景だ。
朝餉を召し上がり、着物を着替えて、容保様にいただいたかんざしを髪に差して……
敏姫様の一日が始まるのだ。
とは言っても急にご正室の勤めが勤まるわけではない。何しろ先日までご病気で伏せっていたのだから。
私たちも無理強いはしない。姫様は生きているのが奇跡。今度こそお身体を大事にしていただきたいのだ。
その時、庭の方で聞きなれない音がした。
シパン!!
ん?
「とめ?今の音は何?」
「……さあ……」
(嫌な予感しかしない)
私は一瞬だけ目を伏せた。
この音、聞き覚えがある。あるけど今は鳴ってほしくない。なぜなら姫様がーー
シパン!!
「まぁ!また鳴りましたわ!」
ほら、姫様の瞳がきらきらと輝く。興味深々と言った感じだ。
「行ってみたいですわ!」
ほらぁ!!
「えっ、姫様!?お待ちください!」
止める間もなく、姫様はぱたぱたと庭の方へ駆け出してしまった。
(ああ〜〜絶対に面倒なことになる!!)
私は慌てて後を追った。
庭の一角。
広く開けた場所で――
「せいっ!!」
シパン!!
木刀が空気を切り裂く音が響く。藁を束ねた的に向かって、豪快に打ち込んでいる男。
「おお〜〜いい音だなぁ!」
その声の主はーー
(永倉新八……!やはり!)
どうしてここで剣の稽古なんかしてるのよ!こんなところ見たら姫様が興味を持つにーー
「まぁ!あれが……剣のお稽古ですの?私初めて見ましたわ……」
私の想像通りじゃん!!どうしてくれるのよ永倉新八!
「ん?」
その時こちらに気付いたらしい永倉がこちらに顔を向けた。
私は慌てて姫様を隠した。でも永倉が気付く方が速かった。
「おお!敏姫様!」
(見つかった!)
「お初……いやもう二度目か!どうです?ちょっと見ていきます?」
「ええ!ぜひ!」
ひー!姫様、絶対ろくなことにならないよ!
「姫様!見るだけですからね!見るだけ!」
「ええ、とめ。見るだけよ。殿の側におられる方が普段どんなことをしているか知りたいの」
ど、ど、動機が可愛いぃ〜!!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




