ようやく平穏が戻ってきた屯所
庵で篝の長い黒髪を梳いてあげたことも。篝の匂いを確認し、触れるだけの口付けを交わしたことも。
沖田はそれらの色々なことを思い出して頬を赤く染めた。
「…………//まぁ、そういうことならいいですけど!」
本当はそら豆なんかどうでもよかった。ただーー
(なんで僕は山猫が絡むとこんなにイライラするんだ……)
沖田は自分が何故こんなに苛つくのか自分でもわからなかった。
でも篝のあの一言で……
『箸の使い方も教えてもらったしな。そのお礼!』
何故かさっきまで尖っていた心のトゲが抜けていく。
「総司!こんな狭い所で抜刀しようとすんじゃねえ!!」
土方が沖田にカミナリを落とした。
これには流石の篝もびっくりしていた。
さすが鬼の副長……
こうして沖田と篝の初日の台所は大忙しだったがーー
「なんとかなったね!」
今日の夕餉の献立は。
新じゃがの煮物
きゅうりの浅漬け
茄子の田楽
そら豆の塩茹で
それと、炊き立てのご飯!
「美味しそう!美味しそう!このそら豆私が剥いたんだぜ!」
篝は無意識に沖田に抱きついてぴょんぴょん飛び跳ねた。
「……//そうですね……」
(む、胸が……山猫の胸が当たってる……)
「土方さん、手伝ってくれてありがとうございました」
「いやいいんだ。間に合ってよかったな。それに……」
喜んで飛び跳ねている篝と、嫌そうには見えるけど本気で嫌がってはいない沖田の様子を見ながら土方は続ける。
「……ようやく屯所にも、平穏が戻って来そうでよかった。ありがとな。小太郎」
「はい!!」
無意識に沖田に抱きつく篝、土方のカミナリ、台所でちょこまか動く小太郎。腹を空かせた隊士たち。これら全てが屯所の日常です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




