見張りよりも台所
台所モードに入った小太郎は土方の言葉をことごとく聞いていなかった。
「……そこでだ。台所に見張りをつけることにした」
「そうですか」
そう言うと小太郎はいそいそと作業に戻った。何せこの量である。集中しないと夕餉には間に合わない。
「今まで台所は狙われないだろうと過信していたからな。狙われるとしたら、隊士たちの大部屋か、俺たちが休んでいる部屋だと思い込んでいた」
「そうですか」
皿を洗いながら拭きながら、野菜を洗いながら動き回る小太郎は土方の話をろくに聞いていなかった。
「今日の当番は俺だ」
「そうですか」
「何か手伝うことはないか?」
「そうですか」
「…………」
今まで無視されたことがなかった土方は、小太郎がちょこまか動くのを見ながら、そのうち黙ってしまった。
だいぶ片付いた洗い場に小太郎は大きなまな板を置き、濡れ布巾で拭く。
「土方さん、今は八つですね。何か召し上がりますか?菓子だったら作れますよ」
小太郎は米を洗いながら、土方に問う。先程釜を覗いたところ、米を炊いた形跡はなかった。
炊き立ての米を隊士たちはしばらく食べてないはずだ。
「いや、俺はいい。それより小太郎、何か手伝うことがあれば……」
「それは助かります。ではそこのじゃがいもを洗っていてください」
小太郎は余裕が出て来たのか、土方の問いにやっと答えた。
小太郎が指した先にはまだ土がついたじゃがいもが籠に山積みにされていた。
「虎之助さんが持って来てくださったんです。いいのが入ったって」
「……ああ、任せろ」
しばらく無言で小太郎と土方がそれぞれの作業をしているとーー
「容保公の命により罰を受けに来ました」
「よりによって台所なんて、腹が減るばっかりじゃないか……」
沖田と篝の二人が台所へ来た。
また面倒なのが二人。汗
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