小菊ぅぅぅぅ!!
永倉の兄さんが面白いだけの話②笑
いくら黒谷で快適な部屋と満足いく飯が用意されても、小太郎がいないんじゃ意味がないだろ。
「兄さん、また明日来ますから……」
ね?
と言って安心させようとしてくる小太郎が、ひどく愛しくて、優しくて、残酷で。
「……小太郎。まさかお前、その格好のまま屯所に帰るつもりじゃねえよな」
「えっ?まさかまさか!この格好は黒谷だけですよ。屯所がどんなに危険かは、霧島のことで思い知りましたし……それに……」
「それに?」
「おとめさんや敏姫様のお気持ちを無視するわけにはいけませんから」
そう言って笑う小太郎の姿に、永倉はピンときた。
小太郎をこんな綺麗にしたのはおとめさんと敏姫様だと。
「じゃあまた明日、兄さん。おやすみなさい」
ぺこりと頭を下げて去っていく小太郎の後ろ姿を見ながら、永倉はその姿が完全に見えなくなるまで小太郎を見送った。
「……おとめさん……」
襖の影でずっと聞き耳を立てていたおとめがバツが悪そうに出てきた。
「なんだ、バレてたのかい」
「……あと何日ですか?」
「ん?なんのこと?」
「俺が自由になる日まで」
小太郎をいつまでも見送る永倉の後ろ姿を見ながらおとめはあー……と全てを悟った。
「あと六日だね」
「長いぃぃぃぃぃ!!」
永倉はそう言うと部屋中をゴロゴロと転がって悶絶した。
「容保様と敏姫様が決めたことだから仕方ないよ。我慢しな」
ひどい、酷すぎる!これなら一週間酒抜きの方がマシだ!!
永倉の脳裏に、着飾った小太郎の美しい姿が映る。
あんな小太郎を目の前にして、正常でいられる男がいたら教えて欲しい。
ますます目が離せなくなる。
「はっ……まさか!容保公はこうなることを見越していたのか!?わざと着飾った小太郎を俺の目の前に寄越して……」
「違うよ。私と敏姫様が勝手にしたの、でもまさか永倉がそこまで小菊に入れ込んでたとは予想できなかったんだ」
「うおおお〜〜〜〜!!小菊ぅぅぅぅ!!泣」
「全く情けないね、仮にもあんたは新撰組だろ?」
「それとこれとは別問題なの!!ちくしょー!泣」
永倉の絶叫は一晩中続き、おとめと敏姫は若干後悔した。
「まさか永倉さんがあんなに取り乱すなんて、私たちもしかして悪いことしちゃったかしら?せめて黒谷では小菊ちゃんを可愛いくしてあげたかっただけなのに……」
「そうだねぇ。永倉が小菊に惚れてるとは思ってたけどまさかここまでとは……」
容保公はというと、同じ男なので気持ちがわかる。
と永倉に大いに同情したという……
小太郎が本当に善意だけでやってるのがもうね。余計永倉の兄さんを苦しめるよね(笑)
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