絶叫の永倉
今回はただ永倉が面白いだけのほのぼの回だと思います。
黒谷・客人用の離れ座敷にてーー
永倉新八は蟄居されていた。
というか「蟄居」というのはこれまた名ばかりで、永倉は容保公と敏姫様に頼まれて「蟄居されている体」にしているだけで、実際はかなり優遇されていた。
茶は出るし、縁側もある。手入れされた庭には椿も咲いて。
流石に酒は制限されているが、飲めないわけではなかった。
ただ永倉は暇だった。
剣の稽古をしたいが、藁束は用意してくれるだろうか?
横になった永倉がそんなことを考えているとーー
「……兄さん、昼飯です」
小太郎!?なんで黒谷に!?
永倉が驚いて声のした方を振り向いた時ーー
「え……」
そこには薄藤色の着物を着て、桔梗のかんざしを揺らす美しい女子が微笑んで座っていた。
「え?え?え?え?今小太郎の声が確かにしたんだけど……」
目の前の女子が困ったように笑う。
「兄さん、俺です。小太郎です」
目が隠れるほど伸びた前髪は整えられて、ざんばらだったはずの黒髪は結いあげられて、そこに桔梗のかんざしが揺れて。
小太郎の美しい白い肌と、美しい顔がはっきりと。唇にはほんのり桜色の紅が施されており、どこからどう見てもいつもの小太郎ではなかった。
「こ、こ、こ、こ、」
「……??兄さん?」
「小太郎をこんなに綺麗にしやがったのは誰だーーーーッ!!!!」
永倉の絶叫は、黒谷の屋敷中に響いた。
書物を読んでいた容保公は、仕方なさそうにため息をひとつついた。
また敏とおとめが何かやらかしたのだと……
小太郎(小菊)は女性の時はめちゃくちゃ美人(の設定)です。永倉が焦るのもわかる。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




