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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十三章・騒動後・容保公の審判

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黒谷にて再び捕まる小太郎

久しぶりの黒谷です。

 会津藩・黒谷のお屋敷にてーー


 小太郎は屋敷に続く長い回廊を右往左往していた。


 そこへーー


「お客さんかい?」


 低くて心地よい、よく通る声が聞こえてきた。


 松平容保公の御正室、敏姫様の侍女頭のおとめが現れた。


「あ、あのすみません。俺、怪しい者では決してなくてですね」


「あら、その特徴的な長い前髪はもしかして小太郎かい?話は聞いてるよ。さあ、こっちへ来な」


 おとめは霧島藤吾のことを知っていた。

 

 何故敏姫様じゃなくて、侍女頭のおとめさんが……


 小太郎がそう首を捻っていると、その意図に気がついたおとめが困ったように眉根を下げた。


「壬生の屯所には世話になっててね、最初の頃は敏姫様と台所にも入ったもんだよ」


(えっ!?あの敏姫様が壬生の台所に!?)


「それから何の因果か、最初の新撰組との出会いは斉藤で、そのうち組のお偉いさんに気に入られてーー」


 * * *


 おとめさんは自分と新撰組、局長に何故か気に入られていること、酒の強さで一目置かれていると言うこと、『適当組』のことなど色々話してくれた。


「だからほっといてもあっちから情報が入ってくるんだよ」


 おとめさんはそう言うと、葡萄(えび)色の着物を翻した。


「……それにしてもさ……」


 おとめさんは俺のいでたちを上から下まで眺めて口を開く。


「ここは屯所じゃなくて黒谷だからねぇ。ちょっと泥を落としてもいいかい?」


 おとめさんは俺の顔に塗っている泥と砂を見て困ったように言う。


「そうだ!ついでだからあんたんとこの局長の贈り物で私の趣味じゃないのを着せてもいいかい?」


「ええ?俺は男……」


「私を出し抜けると思ったのかい小菊。お前の正体も私にゃ筒抜けなんだから!」


 そう言うとおとめさんは、侍女部屋に無理矢理俺を連れて行った。


おとめさんは何もかも知っています。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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