小太郎と小菊の居場所
永倉の言葉を聞いた小太郎は、それまで張り詰めていた思いが一気にあふれ出る。
「お、俺……ここに居てもいいんですか?」
「……居て欲しい。いや、居てくれないと俺が困る」
小太郎はその言葉を聞いて、次々と涙を流した。
「……兄さん!ああ……」
小太郎の小さな手が、永倉の大きな背中に回された。
俺の……居場所。
俺の……兄さん。
俺はここに、屯所に居ていいんだ。
「兄さんッ!兄さん……俺……怖かった!本当はずっと……あのまま一人で、死んでしまうんじゃないかと思った!」
「……そんなことさせねぇよ」
小太郎がどこに居ても、俺が必ず見つけ出して助けてやる。
抱きしめる力を強くする。
細くて小さくて柔らかくて折れてしまいそうだ。
小太郎はこんな……
(普通の女子なのに……)
「にいさん、ぅぅう……」
永倉は泣き続ける小太郎の背中をずっと摩り続けた。
「怖かったよな、助けるのが遅くなってごめん……」
「う、ぅぅん……助けに来てくれへ、ありがとう……」
そう言って小太郎は永倉の胸にしがみついた。
(本当はずっとここに居たいと、兄さんのそばに居たいと思っていた)
永倉は何も言わず、小太郎の頭を撫で、腕の中の小太郎を確かめた。
小太郎は確かにここにいる。
永倉の腕の中に。
「……」
小太郎の体がまだ本調子でないのがわかったのか、永倉は小太郎の体をさすり、自分の羽織りを小太郎へ掛けた。
「……帰るぞ、小菊」
「……はい……」
永倉と小菊の手は、しっかりと握られていた。
互いが互いに、もう二度と離れないとでも言うかのように……
小太郎頑張ったね。よかった……
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