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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十二章・小太郎と永倉と……

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何が新撰組だ。

永倉の重い斬撃を受けても、霧島は余裕の笑みを浮かべる。

「く、そ……ッ」


 霧島は血を吐きながら立ち上がる。


 だが永倉は待たない。


「小太郎はどこだ」


「……言うとでも?」


 霧島は不敵に笑う。まだ余裕があるようだ。


「そうか」


 永倉が刀を構える。


「じゃあ半殺しにしてから聞く」


「……ッ!!」


 ゾワッと背中に冷たいものが走る。その瞬間、霧島は初めて理解した。


(この男は、私を本当に殺す気だ)


「うあああああッ!!」


 霧島は叫びながら斬りかかる。


 だが永倉は避けない。


 真正面から踏み込む。


 ギィン!!


 刀同士がぶつかる。


 だが力が違いすぎた。


「ぐ、あ……ッ!?」


 霧島の刀が悲鳴を上げる。


 ミシ……と嫌な音を立てて霧島の腕と刀にヒビが入る。


「な……」


 バキィン!!


 霧島の刀が真っ二つに砕け散った。


「……終わりだ」


 永倉の拳が霧島の顔面へ叩き込まれる。


 ゴシャッ!!


 霧島の体が床を転がった。


 割れた酒瓶。

 蜘蛛の巣。

 埃。


 その中へ霧島は無様に叩き伏せられる。


「……げほっ……」


 霧島は動けない。


 鼻血と血反吐で顔がぐしゃぐしゃだった。


 永倉はそんな霧島の胸ぐらを掴み上げる。


「小太郎はどこだ」


 今度は静かな声だった。


 だがその静けさが、さっきまでより遥かに恐ろしい。


「……洞窟の奥、だ……」


「鍵は」


「……懐に……」


 永倉は霧島の懐から鍵を乱暴に奪い取る。


 そして霧島を床へ放り投げた。


「ま、待て……永倉くん……」


「……安心しろ」


 永倉は振り返らない。


「お前は殺さねぇよ」


「えっ……」


「小太郎が嫌がる」


 永倉の脳裏に小太郎のほんわかした笑顔が映る。


【兄さんだけですよ】


 そう言って前髪をあげて、綺麗な素顔を晒してくれた時の。


 微笑んだ小菊の顔。


 永倉に寄りかかる時の照れた顔。


【……俺は、新撰組だ】


 永倉はぎゅっと目を瞑った。


(何が新撰組だ。惚れた女一人守れないで)


 永倉は壊れかけた本堂を飛び出した。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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