表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十二章・小太郎と永倉と……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

219/333

理性で抑えてきた獣

霧島と対面した永倉は、話し合いをする気などハナからなかった。

(……ははは……)


 霧島の目の前にいるのは獣だ。


 しかも理性で抑え込まれていた類の獣。


 普段は陽気に笑い、酒を飲み、馬鹿をやる男。

 

 だからこそ恐ろしい。


 本気で怒った時、何をするかわからない。


「……ッ!」


 霧島は反射的に刀を抜いた。


 ギィン!!


 瞬間。


 永倉の刀が、霧島の刀を真横から叩き潰すように弾いた。


「ぐッ!?」


 重い。


 ただ速いだけじゃない。

 腕ごと砕かれるような圧。


 霧島は後方へ飛び退く。


 床板がバキリと割れた。


「は、はは……っ、永倉くん、本当に怒ってるんだねぇ!」


「当たり前だろうが」


 永倉が一歩踏み出す。


 ドン。


 その一歩だけで、本堂の空気が震えた。


「俺ァなぁ……」


 ギリ、と永倉が刀を握る。


「……あいつが台所で笑ってんのが、唯一の癒しだったんだよ!」


 殺伐とした新撰組の中で。

 常に死と隣り合わせの世界で。


「…………」


「腹ァ空かせた隊士どもに飯食わせてよぉ、菓子作って、うまく作れた時には笑って見せてくれて」


 永倉の脳裏に、小太郎の顔が浮かぶ。


 泥だらけの顔。

 前髪で隠れた瞳。

 菓子がうまく作れた時の、嬉しそうに笑う姿。


【兄さん、これ味見してください】


【兄さん、今日は桔梗の菓子なんです】


【兄さんの前だけですよ】


「……あいつは、この血生臭ぇ屯所で」


 永倉の目が細くなる。


「唯一、普通の夢見てた奴なんだよ」


 ゾワッ!!


 霧島の背筋を悪寒が走る。


(来る!!)


 霧島は咄嗟に踏み込んだ。


「うおおおおッ!!」


 斬撃。連撃。


 ーー速い。


 常人なら見えないほどの剣速。


 だが。


 ガン!!


 永倉は片手で受け止めた。


「な……ッ!?」


「軽ぃな」


 次の瞬間。


 永倉の拳が霧島の腹へめり込んだ。


 ゴッッ!!


「がはッ!!」


 霧島の体が吹き飛び、本堂の柱へ叩きつけられる。


 ミシミシと柱が軋んだ。

永倉の小太郎への想いが書けてよかったです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ