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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二章 新撰組登場

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優しい熊さん

新撰組二番隊組長・永倉新八は、とめの言うことも気にせず敏姫にガンガン距離を詰めていく。一方の敏姫は……

 永倉はそんな周りの空気もお構いなし。


 やがて屈んで、姫様の目線に合わせた。


「驚かせちまってすみません!俺、声がでかいもんで!」


「……い、いえ……」


 姫様が小さく答える。


「斎藤から聞きましたよ!『熊と間違えられた』って!」


「っ!!//」


 姫様の顔が一瞬で赤くなる。


「ち、違いますわ!!あれは……その……」


「ははは!いやぁ気持ちはわかる!こいつ、確かに熊っぽいもんな!」


「……否定はしない」


「しろよ!!」


(しないんかい!!)


 思わず私も心の中で突っ込んだ。


 二人のやり取りを、ポカンと口を開けて見ていた姫様の表情が柔らかくなり、やがて小さく笑った。


「……ふふ……」


「……?」


 永倉が一瞬きょとんとする。


「……なんだか……楽しい方々ですのね」


「おっ?」


「殿のそばには、このように賑やかな方がいらっしゃるのですね」


 その言葉に、永倉はにやりと笑った。


「そりゃあもう!殿一人じゃ静かすぎますからね!」


「……お前が騒がしいだけだ」


「うるせえな!」


 二人の掛け合いに、姫様の表情が徐々に穏やかになり、先程まで張り詰めていた空気も柔らかくなった。


 よかった……怖がってない。永倉相手にも、怖がっていない様子だ。


「……姫様は、あの……もう熊とは思っていないのですか?」


 私は斉藤と永倉の二人を見ながら姫様にそっと耳打ちする。


 姫様は少し考えてから、


「……少しだけ……思っていますわ」


「おい!!聞こえたぞ!」


 永倉が即座に反応する。


「やっぱりか!!」


「でもーー」


 姫様はくすくすと笑いながら続けた。


「……優しい熊さんですわ」


「えっ?」


 一瞬、空気が止まった。


「……っ」


 永倉が言葉に詰まる。


「……初めて言われたな、そんなこと」


 頭をかきながら、少し照れたように笑った。


 その様子を見ていた斎藤がぽつりと呟く。


「……優しい熊か。案外似合ってるかもしれんな」


 斉藤はそう言って顔を背け、また肩を震わせて笑いを堪えていた。


「どこがだ!!」


 また騒がしくなる二人。


 賑やかなお二人だ。こんなに賑やかなのは初めてかも。


ご存知かと思いますが野生の熊は危険です。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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