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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十二章・小太郎と永倉と……

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俺にはお前が必要だ。

虎之助と永倉の二人は藤崎藤吾の潜伏先の廃寺に来ていた。

「いや、お前はよくやったよ。俺一人だったら敵のアジトもわからなかった」


 そう言う永倉の言葉は優しかったが、焦りも感じられた。


「……でも篝さんの、『身を低くして、自分より背丈の高い草木に紛れる』っていうのがまさかこんなところで活かされるなんて……」


 そう言う虎之助の顔は暗かった。

 虎之助は戦えない。

 

 永倉を敵の巣に一人で行かせる事になるのだ。


「でも俺は戦えないけど、そのかわりに戦えそうな面子を連れてきました!」


 虎之助がそう言うと、虎之助の荷車の中から二人。


 沖田と篝が出て来た。


「お前ら……」


「水くさいですよ永倉さん。一人で行こうだなんて、せっかく思う存分人が斬れると言うのに」


「小太郎の危機なんだろ!だったら今こそあの時の礼を返す時だ。それに、思う存分人が斬れるしな」


 山猫と馬鹿犬のある意味最強のコンビが、永倉の目の前に立っていた。


「……では、俺はここで帰り道を開いて待っています。皆さん、どうかご無事で」


 虎之助がそう言って荷車を安全なところに引き返して行った。


「小勢の相手は任せな。馬鹿犬と私で充分だ」


「ではどちらが多く倒せたか数えましょうか」


 永倉はまた喧嘩しそうな二人をほっぽって、まずは廃寺の高所によじ登り作戦を練った。


 本堂……朽ちているが、あそこに敵が潜伏していそうだ。


 洞窟……小太郎はきっとあそこに捕えられている。


 永倉は今までの経験を活かして、敵が潜伏していそうな場所を探す。


 小太郎……小菊……


【わかりました。兄さんの前でだけです】


【その時はまた、今みたいに兄さんが駆けつけてくれるんでしょう?】


 ああ……


 何度でも助けてやる。


 何度でも駆けつけてやる。


 もう新撰組のしがらみも何も関係ねぇ。


 今になって、こんな風になってから気付くなんてーー


 のらりくらりと嫌なことから目を背けて来た。


 小太郎の夢も聞きたくなくて避けていた。


 でも今度は目を背けはしない。


 小太郎、お前が。


 俺にはお前が必要なんだ。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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