罰が当たったんだ。
謎の男・霧島藤吾に捕えられてしまった小太郎。
小太郎は己の見通しの甘さに後悔していた。
「良い子だねぇ。その調子で頼むよ。台所係の子リスちゃん」
霧島の足音が遠ざかり、周りから水滴の音が聞こえてきた。
どうやらここはどこかの洞窟らしい。
* * *
(どうしよう、兄さんの言った通りの事が起こってしまった)
【何でお前はそんな危機感がないんだよぉ〜!!】
【何やってんだお前ェ、女だってことバレてもいいのか?】
今まで散々兄さんに言われてきたのに。危機感がなさすぎるって。
でも俺はどこかで甘えていたんだ。
【その時はまた、今みたいに兄さんが駆けつけてくれるんでしょう?】
甘えていたんだ。
知らずのうちに小太郎の両目から大粒の涙が溢れ出る。
俺は馬鹿だ!何度も兄さんが警告してくれていたのに。呑気に菓子なんか作っていたから……
「罰が当たったんだ……」
少し考えれば分かる事だった。あそこは台所とは言っても壬生の屯所。
新撰組の拠点。
恨みを買っている隊士たちがウヨウヨいる世界。
それでもまた明日、いつもみたいに腹を空かせた隊士たちに飯を食わせて、篝や明彦が来たら弁当を持たせて。
俺は趣味の菓子作りに没頭して。
そして俺の隣には兄さんがいてーー
でも、そんな生活にはもう戻れないかもしれない。
小太郎は自分の見通しの甘さと。
【……小太郎。それを語るのは後にしてくれねぇか】
あの時の兄さんの言葉の意味を。
深く考えないで、馬鹿な夢を語ろうとしていた自分の愚かさに。
小太郎は声を堪えて泣いた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




