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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十二章・小太郎と永倉と……

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罰が当たったんだ。

謎の男・霧島藤吾に捕えられてしまった小太郎。

小太郎は己の見通しの甘さに後悔していた。

「良い子だねぇ。その調子で頼むよ。台所係の子リスちゃん」


 霧島の足音が遠ざかり、周りから水滴の音が聞こえてきた。

 

 どうやらここはどこかの洞窟らしい。


 * * *


(どうしよう、兄さんの言った通りの事が起こってしまった)


【何でお前はそんな危機感がないんだよぉ〜!!】


【何やってんだお()ェ、女だってことバレてもいいのか?】


 今まで散々兄さんに言われてきたのに。危機感がなさすぎるって。


 でも俺はどこかで甘えていたんだ。


【その時はまた、今みたいに兄さんが駆けつけてくれるんでしょう?】


 甘えていたんだ。


 知らずのうちに小太郎の両目から大粒の涙が溢れ出る。


 俺は馬鹿だ!何度も兄さんが警告してくれていたのに。呑気に菓子なんか作っていたから……


「罰が当たったんだ……」


 少し考えれば分かる事だった。あそこは台所とは言っても壬生の屯所。

 

 新撰組の拠点。


 恨みを買っている隊士たちがウヨウヨいる世界。


 それでもまた明日、いつもみたいに腹を空かせた隊士たちに飯を食わせて、篝や明彦が来たら弁当を持たせて。

 

 俺は趣味の菓子作りに没頭して。


 そして俺の隣には兄さんがいてーー


 でも、そんな生活にはもう戻れないかもしれない。

 小太郎は自分の見通しの甘さと。


【……小太郎。それを語るのは後にしてくれねぇか】


 あの時の兄さんの言葉の意味を。

 

 深く考えないで、馬鹿な夢を語ろうとしていた自分の愚かさに。


 小太郎は声を堪えて泣いた。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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