小太郎は猛獣に守られてる!
虎之助は必死すぎて思わず小太郎の肩を掴んだ。
その瞬間、獣のような殺気を感じて……
「永倉さん……」
「あ、兄さん。ちょうどいいところに。今虎之助さんが……」
(に、兄さん??小太郎さんは永倉さんを兄さん呼ばわりする仲??しかも俺が感じている殺気を何とも思っていない??)
永倉さんは俺が掴んでいる小太郎さんの肩へ視線を落としていた。
「……お前ェ」
永倉さんが一歩前へ出る。
ドン、と床が鳴る。
その圧だけで、俺の喉がひゅっと鳴った。
「俺の小太郎を、捕まえて何しようとしてんだ?」
「お、俺の!?」
小太郎さんは状況がわかっていないのか、きょとんとしている。
だが俺は違った。
(やばいやばいやばい!!)
本能が叫ぶ。
この人、本気で怒ると洒落にならない!!
永倉さんの周囲から、じわじわと剥き出しの威圧感が滲んでいた。
まるで。
縄張りに入り込んだ外敵を見つけた熊のように。
「兄さん、何怒ってるんですか?せっかく虎之助さんがお酒を運んでくださったと言うのに」
「……虎之助。手」
永倉さんは小太郎さんの話を無視して俺にだけ殺気を向け、小太郎さんの肩を掴んだままの俺の手を払いのけた。
「お前みてぇな女に必死の男が両肩掴んで迫ったら、小太郎が死ぬだろうが」
「えっ?俺ですか?そんな大袈裟ですよ。肩掴まれたくらいじゃ死にませんって」
小太郎さんが困ったように笑う。
その瞬間。
永倉さんの殺気が、ふっと薄れていくのがわかった。
「……ったく」
大きなため息を吐いたかと思うと、永倉さんは小太郎さんを守るようにして、さっきまで俺に掴まれていた肩を優しく摩る。
その仕草は、まるで壊れ物を扱うかのように優しく。
と同時に他を寄せ付けない凄みがあった。
気付いてないのは小太郎さんだけだ。
「……篝に惚れるのは勝手だが、まずは周り見ろ。あの山猫の周りゃ猛獣だらけだぞ。特に総司」
「うっ……」
(いや、もうすでに……)
虎之助は何も言い返せなかった。目の前に、特大の熊がいるからだ。
* * *
小太郎さんは新撰組の癒しキャラなんかじゃ全然なかった。
何故なら怒らせたら新撰組一手が付けられない。
何をするかわからない。
猛獣に守られているからだ!!泣
永倉の兄さんは怒らせたら怖い。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




