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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十二章・小太郎と永倉と……

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小太郎は猛獣に守られてる!

虎之助は必死すぎて思わず小太郎の肩を掴んだ。

その瞬間、獣のような殺気を感じて……

「永倉さん……」


「あ、兄さん。ちょうどいいところに。今虎之助さんが……」


(に、兄さん??小太郎さんは永倉さんを兄さん呼ばわりする仲??しかも俺が感じている殺気を何とも思っていない??)


 永倉さんは俺が掴んでいる小太郎さんの肩へ視線を落としていた。


「……お前ェ」


 永倉さんが一歩前へ出る。


 ドン、と床が鳴る。


 その圧だけで、俺の喉がひゅっと鳴った。


「俺の小太郎を、捕まえて何しようとしてんだ?」


「お、俺の!?」


 小太郎さんは状況がわかっていないのか、きょとんとしている。


 だが俺は違った。


(やばいやばいやばい!!)


 本能が叫ぶ。


 この人、本気で怒ると洒落にならない!!


 永倉さんの周囲から、じわじわと剥き出しの威圧感が滲んでいた。


 まるで。


 縄張りに入り込んだ外敵を見つけた熊のように。


「兄さん、何怒ってるんですか?せっかく虎之助さんがお酒を運んでくださったと言うのに」


「……虎之助。手」


 永倉さんは小太郎さんの話を無視して俺にだけ殺気を向け、小太郎さんの肩を掴んだままの俺の手を払いのけた。


「お前みてぇな女に必死の男が両肩掴んで迫ったら、小太郎が死ぬだろうが」


「えっ?俺ですか?そんな大袈裟ですよ。肩掴まれたくらいじゃ死にませんって」


 小太郎さんが困ったように笑う。


 その瞬間。


 永倉さんの殺気が、ふっと薄れていくのがわかった。


「……ったく」


 大きなため息を吐いたかと思うと、永倉さんは小太郎さんを守るようにして、さっきまで俺に掴まれていた肩を優しく摩る。


 その仕草は、まるで壊れ物を扱うかのように優しく。

 と同時に他を寄せ付けない凄みがあった。


 気付いてないのは小太郎さんだけだ。


「……篝に惚れるのは勝手だが、まずは周り見ろ。あの山猫の周りゃ猛獣だらけだぞ。特に総司」


「うっ……」


(いや、もうすでに……)


 虎之助は何も言い返せなかった。目の前に、特大の熊がいるからだ。


 * * *


 小太郎さんは新撰組の癒しキャラなんかじゃ全然なかった。


 何故なら怒らせたら新撰組一手が付けられない。


 何をするかわからない。


 猛獣に守られているからだ!!泣

永倉の兄さんは怒らせたら怖い。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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