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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十二章・小太郎と永倉と……

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小太郎は屯所の癒しキャラ?

小太郎の口から篝の名前が出たことに虎之助は驚く。

「あ、すみません。俺の古い馴染みなんです。秋月篝。ものすごい剣豪のはずなのに、俺の菓子を見て目を輝かせて、弁当を持たせるとぴょんぴょん跳ねて喜んで、面白い子なんですよ」


 目を輝かせて?

 面白い子?

 あの篝さんが?


 この癒しキャラは何者なんだ?俺は目の前で菊の菓子を作りはじめた子リスを見た。


 ……全く殺気がない……


 篝さんのようなギラギラとした覇気も。

 兄さんのような人殺しの雰囲気も。

 何も感じない。


「小太郎さん!」


「わ!」


 俺は小太郎さんの両肩を掴んだ。細い……ちょっと力を入れたら俺でも折れてしまいそうだ。


「小太郎さん、俺は篝さんに惚れているんです……だから」


「えっ?えっ?あの篝に?虎之助さんが?」


 そう言うと小太郎さんは明らかに目をうろうろさせた。言いたいことはわかる!!


 あの篝さんに惚れて報われることなどないんだと!!


 でも知りたい……俺、篝さんのこと何も知らないんだ。


「小太郎さん!篝さんのこともっと俺にーー」


 その瞬間だった。


 ギシ……


 俺の背後で、床板がゆっくり(きし)んだ。


「……ッ」


 空気が変わる。


 さっきまで漂っていた味噌と漬物の匂い。 


 小太郎さんの作る菓子の甘い香り。


 穏やかな台所の空気。


 それが一瞬で凍りついた。


「……虎之助」


 低い声。


 背中に冷たいものが走る。


 振り返らなくてもわかった。


(やばい)


 この気配は、獣だ。

 何度も感じたことのある獣の覇気。


 山で縄張りを荒らされた時の、本物の熊。


 俺の首筋に、じわりと嫌な汗が浮かぶ。この殺気の正体はーー


「永倉さん……」

どうなる虎之助!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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