表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十一章・山猫のしつけ方

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

204/234

触れるだけの、ただそれだけの。

出来上がった箸を見て感動した篝は思わず……

 そしてーー


「できた〜!!」


 私の手にはちょうど私の手に合わせた長さと形になった枝……いや、箸が置かれていた。


「わ〜!ありがとう馬鹿犬!」


 気付いたらいつも小太郎にするノリで私は馬鹿犬に抱きついてしまっていた。


「わ……」


 私は抱きつく勢いがつきすぎて馬鹿犬を押し倒してしまった。


「…………ッ!」


「ありがとう馬鹿犬、私、何かを自分の手で一から作るなんて初めて……で」


 馬鹿犬は突然私に抱きついて来たかと思うと、そのまま転がり、今度は馬鹿犬が私を押し倒す形になった。


 * * *


「……ははは!」


「……何がおかしいんです」


「なんか犬っころのじゃれあいみたいだなと思って!」


「……」


「……馬鹿犬と私は、案外似たもの同士なのかもな」


 そんな格好で。

 そんな隙だらけで。

 僕のあげた髪紐をつけて。

 僕にそんな子どもみたいな笑顔を向けて。


 誰にも知られたくない。

 この場所も。

 篝のこの笑顔も。

 篝のこの黒髪も。


 知らず、篝と沖田の距離が縮まる。互いの息が掛かるほどに。


「……逃げないんですか?」


 沖田の言葉を聞き、篝はキョトンとする。


「ああ?しねぇよそんなこと。今のお前からは殺気を感じられねぇからな」


 殺気……本当に山猫らしい。

 野生に生きていた証拠。


 常に生きるか死ぬかの二択しかない。


「……じゃあ殺気じゃなくてこれは?」


「ん?ン……」


 気付いたら沖田は山猫に覆い被さり、口付けを交わしていた。


 唇が触れるだけの、ただそれだけの。


「……なんだ今のは?」


 篝が心底わからないような顔をして沖田の顔を見上げる。


「……ちょっとした挨拶ですよ。特別な……」


「特別……??」


 特別と聞いて、篝の脳裏にいつぞやのでかい壬生狼(斉藤)と、その膝に平気で座っているおときの姿が浮かんだ。


 でかい壬生狼(斉藤)が花の菓子をおときに食べさせ、頭を撫でている時のーー


【あれも特別な人にしかしないでしょう。お互いに想いあっていないとできない行為です】


 あの時の沖田の言葉を思い出し、急速に顔が真っ赤に染まる篝。


 慌てて上にいる沖田を押し退けた。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ