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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十一章・山猫のしつけ方

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庵にて箸作り

台所で喧嘩すんなと土方に一喝された二人は篝の庵に移動した。

 山奥の岩に囲まれ、紫の菊の花に埋め尽くされた庵にてーー


 台所で喧嘩すんな!と土方に一喝された沖田と篝は篝の庵に移動していた。


 そして今は何をしているかというと……


「この枝が良さそうですね」


 馬鹿犬が私の庵の裏にある大きな木を前にして言った。この大きな木はその大きな葉で私の庵の雨風を凌いでくれている。


 私は秋月篝。


 台所で私が飯を手掴みで食ってたら馬鹿犬から「行儀が悪い」「壬生狼でも箸が使える」と聞いて、箸の使い方を教えてもらいにとりあえず庵に帰ってきたんだけど……


「なぁ、何してんだお前」


「箸にちょうどいい枝を探しているんです」


 そう言って馬鹿犬が真剣の鯉口を切る。


「……山猫、避けていてください。この刀は長いので当たります」


「お前の剣が当たるかよ」


「いいから避けてください。あなたが死んだらもう試合ができないじゃないですか」


 それもそうか……


 馬鹿犬の剣は余裕で避けられるけど、念のため私は馬鹿犬の刀が届かない場所に避けた。


 スパッと小気味良い音を立てて何本かの枝が切れた。


 * * *


「今度はこの枝を整えて」


 小刀で器用に箸を作って行く馬鹿犬の様子を私は感心して見ていた。

 ただの枝だった木が、馬鹿犬の手でどんどん箸の形になっていく。


「……馬鹿犬って器用なんだな」


「……このくらいなら誰でもできますよ。ほら、山猫も」


 馬鹿犬がそう言って私の手を取ろうとした。


「わわわ!何すんだ馬鹿犬!言っとくが私はそんな繊細な動きはできねえぞ!」


「はぁ、本当に山猫なんですね。平気ですよ、ほら」


 そう言って私の手を取り、小刀を持たせた馬鹿犬が、後ろから小刀を私の手を馬鹿犬の手に添え、枝に沿わせて毛羽だった場所を削がせる。


「わわわ……本当に……」


 私の手の中の枝がどんどん箸の形になって行く様子を見て、私は声を失った。


 気付いたら私は枝を箸にすることに夢中になっていた。

またこの二人は……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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