野生児・秋月篝
「めしは手掴みで食べるもんだろ!!」
「違いますよ!箸を使うんです!ほら、持って」
沖田は小太郎が隊士たちのために揃えていた箸を掴むと無理矢理篝に持たせた。
「わっ!何、なんだこれ!ちっこい木刀か??」
沖田は篝のリアクションを見て、篝が今まで箸を見たことも、持ったこともないことを知った。
その事実に、何故か沖田の口角が上がる。
「……それが箸です。使い方を教えましょうか?」
箸を持ってあたふたしている篝を見て、さっきまでささくれだっていた沖田の心からトゲが無くなっていく。
「山猫の嫌いな『壬生狼』も使いこなせてますよ。もちろん僕も」
それを聞いて、篝の雰囲気が変わる。殺気とも何とも言い難い独特の空気が篝を包んだ。
これは、闘争心だ。
「……どうやって使うんだ?」
* * *
「わわっ、なんだその動き!そんな事するなら手で掴んだ方が早いだろ!」
「山猫こそ、どうやったら箸でそんな動きができるんですか!食べ物を掴むんです!髪は挟まない!」
初めての箸に悪戦苦闘する篝の姿に、沖田は何故か胸が熱くなった。
何故かはわからない。
でも山猫と二人で喧嘩しながら過ごすこの時間が、不思議と楽しいと思えた。
一方その頃決意と叶わない願いを誓っていた虎之助は、沖田と篝のじゃれあいを見てショックを受けていた。
「沖田さんがそばにいる限り篝さんには近づけない!」と……
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