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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十一章・山猫のしつけ方

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201/212

わからない。でも嫌だ

一方こちらは屯所の台所。

沖田と篝は一触即発という感じだったが……

「お前が何に対してそんなに怒ってるのかしらねぇが、相手してやるよ!」


 一方こちらは壬生屯所・台所にてーー


 篝は沢庵をボリボリと食いながら沖田に凄む。


 ーーが。


「待ってくれ馬鹿犬!小太郎がこさえてくれたこのたくあんめちゃくちゃ美味いぞ!一旦休戦しよう。腹が減ってはなんとやらって言うしな!」


 先まで獣のようにギラギラしていた篝の瞳が一転、キラキラと輝く。


「……はぁ……もういいですよ。戦意を削がれました」


 いくらか落ち着きを取り戻した沖田が刀を納めた。


「馬鹿犬も食うか?小太郎がわざわざ私の食べる分を避けてくれてたんだ」


 その名前に沖田のこめかみがピクリと反応する。


「僕の前で呼ばないでください」


「あ?」


「僕の前でその名前を呼ばないでください。何故かイライラします」


「名前って、小太郎か?」


「そう」


 篝は少し考えて、自分の分のおかずを取って沖田に寄越した。


 意図がわからない沖田は首を傾げる。


「ひとくち食べてみろ!お前の小太郎に対する印象が変わるぞ!こんなに美味いものを作る事ができる奴に悪い奴はいねえ!」


 篝はそう言っておかずが乗っている皿を沖田の目の前まで持っていく。


(この山猫、なんか勘違いしてる……俺が小太郎の名前を聞くのが嫌なのはそういうことじゃないのに)


 じゃあどういうことか。


 聞かれてもわからない。


 でも嫌だ。


「……山猫が食べさせてくれたら分かるかもしれません」


「えっ?」


「……小太郎がいい奴か悪い奴かどうかが」


 なるほど、と言った顔で山猫は手で掴んで沖田にたくあんを摘んで寄越した。

 

 は?という顔で沖田は篝とたくあんを見る。


「食べてみろよ、小太郎が漬けたんだ」


(小太郎が漬けたんだ……小太郎が。小太郎が。)


 ぱくっ!


 気付いたら篝の手から沖田はたくあんを食べていた。受け取るのではなく、直接いった。


「なっ//」


「ポリポリ、、まあ悪くはないですね」


「お前行儀が悪いぞ!!//馬鹿犬!」


「おかずをそのまま手掴みで食べる山猫に行儀がどうのとか言われたくありません」


「めしは手掴みで食べるもんだろ!!」


「違いますよ!箸を使うんです!ほら、持って」


 沖田は小太郎が隊士たちのために揃えていた箸を掴むと無理矢理篝に持たせた。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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